研究課題/領域番号 |
26462132
|
研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
天野 英樹 北里大学, 医学部, 講師 (60296481)
|
研究分担者 |
江島 耕二 北里大学, 医学部, 准教授 (30327324)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | PGE2 / EP3 / pre-metastatic niche / SDF-1 / CXCR4 |
研究実績の概要 |
研究目的)申請者はLewis肺癌細胞の同所性移植による縦隔リンパ節転移モデルを用いて、EP3受容体欠損マウス(EP3-/-)の提供を受け、選択的COX-2阻害薬に加えて、野生型マウス(Wild type=WT)とEP3-/-を用いて研究期間内に①リンパ節転移モデルにおけるリンパ節内でのCOX-2及びSDF-1の発現差による癌細胞の転移の有無の検討②リンパ節内での免疫抑制性樹状細胞及びTregの集積の違い③縦隔リンパ節内でのVEGF-C,VEGFDの発現を比較検討しそれに伴い輸出リンパ管付近でのリンパ管新生の違いの検討について探求することにした。 今年度は①縦隔リンパ節におけるCOX-2,SDF-1の発現と腫瘍細胞の転移有無の検討を行った。GFP(Green Fluorecent Protein)を組み込んだLewis肺癌細胞を肺に接種することで縦隔リンパ節転移モデルを作成する。EP3-/-はEP3+/+と比較し有意にリンパ節での腫瘍細胞数の抑制が認められると考えられる。EP3-/-またEP3+/+は免疫組織化学、定量的PCRにてCOX-2,SDF-1の発現の低下を認める。Lewis肺癌細胞はSDF-1のリガンドであるCXCR4の発現を認める。つまりSDF-1の発現はGFP陽性Lewis肺癌細胞の集積が認められる前に増加することが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の進行が順調な理由 1.GFPの遺伝子を組み込んだLLC細胞の作成がスムーズに行き、仮説の証明がしやすくなった。 2.実験を行う前に十分な文献検索をなどを行い、準備をおこなった。
|
今後の研究の推進方策 |
癌細胞が浸潤・転移能する際様々な免疫抑制分子を産生して、癌に対する免疫応答に重要な樹状細胞の機能を阻害し、免疫抑制の樹状細胞、免疫抑制性の制御性 T 細胞 (Treg)を誘導し転移に有利な免疫抑制環境いわゆるpre-metastatic nicheを構築する報告がある。(Cancer Cell 2009)。実際に癌細胞が所属リンパ節に到達する以前に、どのケモカインの発現が増強しているか検討する必要がある。我々は、予備実験やCOX-2阻害薬投与群で対照群と比較し、LLC細胞がCXCR4の発現を認めることを確認した。これはSDF-1のリガンドである。所属リンパ節のSDF-1の発現がモデル作成後増強することができたが今後はEP3受容体欠損マウスで同様な結果を認められるか否かが実験の焦点となる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
実験はほぼ計画通りに遂行されており経費の支出も予定通りである。
|
次年度使用額の使用計画 |
残った残額は次年度の、動物購入費にあてる予定である。
|