研究課題
本研究では 次世代シークエンサーを用いて大腸癌肺転移に関与する遺伝子を突き止め,既存の診断法,治療法よりも精度の高い医療,臨床応用を確立することを目的とする.近年,遺伝子の転写開始点を網羅的に解析するCAGE法(cap analysis of gene expression法)が開発された.そしてこの極めて定量性の高いCAGE法により,ヒトの18万を超える転写開始点と,それに由来する転写産物の発現量の網羅的解析が行われた.本研究課題では,申請者らは大腸癌の肺転移マーカーのCAGE法による網羅的解析を行った.正常組織と,大腸癌原発巣・肺転移巣の転写開始点(TSS)の発現比較により,原発巣・肺転移巣で亢進している遺伝子群を抽出,これらには既存のデータベースには存在しない機能未解明な遺伝子が多数含まれていた.さらに原発巣と肺転移転移巣のTSSの比較の結果,発現変動を認めたTSSのうちの大半は,肺転移巣と大腸原発巣で共通していた.しかし一部のTSSが肺転移巣だけで亢進することを確認した.この遺伝子は大腸癌肺転移特異的なマーカー遺伝子の候補であり,今後肺転移予測マーカーとしての有効性を検証していく予定である.大腸がん患者の術前検査において,肺転移を検出するシステムを確立することが可能になれば,これまでにない治療効果が期待できる.臨床の場において治療の適応にも大きな影響を及ぼすことが予想され,医療に対してすぐにフィードバックできる貴重な研究である.
すべて 2016 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)
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