研究実績の概要 |
両側大腿皮下腫瘍モデルをLewis Lung Cancer Cell Lineを用いて作製した。C57/BL6Jマウスの両側大腿皮下に5e5個の細胞を注射した。14日後に両側大腿腫瘍が5mmに達したことを確認して、60秒間液体窒素での凍結、60秒間の室温融解を1サイクルとして繰り返した。施術2時間および2日後にLPSを皮下投与した。LPSのみを投与するLPS群、Cell Lysate群、クライオアブレーション1-3サイクル施工群に分けて解析を行った。 14日後の腫瘍組織像ではサイクル数と非生存腫瘍領域の面積の間に有意な相関を認め、2サイクル群では約75%の非生存腫瘍領域を認めた 対側腫瘍増大速度を測定したところ、クライオアブレーション2サイクル群では他群に比較して有意に腫瘍増大速度が緩徐であり、生存期間の有意な延長を認めた。 前年の計画通り、対側腫瘍の免疫染色により、CD4、CD8、FoxP3、Ki-67の免疫染色および施術2日後の同側腫瘍周囲洗浄液のサイトカイン測定をBio-Plex Cytokine Plex Kitを用いて行った。 免疫染色ではCD4およびCD8陽性T細胞数がクライオアブレーション2サイクル群で3サイクル群を含む他群より有意な増加を示した。いっぽう、Ki-67陽性腫瘍細胞はクライオアブレーション2サイクル群で他群に比較して有意に少なく、FoxP3陽性細胞数には各群間に有意差を認めなかった。サイトカイン測定ではクライオアブレーション2サイクル群において他群に比較してIL-1β, IL-2, IL-6, IL-12、TNF-αの有意な増加を認めた。 75%程度の腫瘍非生存領域面積となるクライオアブレーション2サイクル群において炎症性サイトカインの上昇を介して、対側腫瘍へCD4およびCD8陽性T細胞の浸潤を誘起して腫瘍の増大を抑制している可能性が示された。
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