研究課題/領域番号 |
26462139
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
関根 康雄 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (70312957)
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研究分担者 |
黄 英哲 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (40375689)
廣島 健三 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (80218833)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 肺癌 / 扁平上皮癌 / Driver gene |
研究実績の概要 |
1) 肺癌発症因子として重要な疾患に慢性閉塞性肺疾患(COPD)および間質性肺炎(IP)が挙げられる。我々は、COPDからの肺癌機序の解明とCOPD合併肺癌患者の臨床的特徴および術後長期予後・予後因子を解析した。その結果、COPDからの発癌においては、慢性炎症下での組織修復機転にかかわる様々な遺伝子および因子が関与していることが分かった。炎症下での組織修復に気管支肺胞幹細胞(BASC: bronchioalveolar stem cells)が関与しており、その修復過程で突然変異、異常な細胞増殖、アポトーシスの抑制、免疫抑制因子の放出などが起こっていた。また、様々なSignaltransducer(NF-kBやSTAT3)が発癌に関与していた。COPD肺癌の特徴は、軽症COPDでは腺癌が多いのに対し、中等度以上のCOPDでは扁平上皮癌が多く見られた。分子標的薬が有効とされるEGFR mutationはほとんど検出されず、進行スピードの速い癌が多く認められた。このような高悪性度の癌はCOPDの重症化に伴い、より高い頻度で認められた。そのため、長期予後もCOPDの重症化に伴い低下していることが分かった。
2) 2008年1月から2012年12月の間に八千代医療センター呼吸器外科に入院し、肺癌手術を受けた患者のうち、研究目的で検体を保管した肺扁平上皮癌の患者対象とした。手術検体の免疫染色によるDriver gene発現測定(Nf-κB,FGFR1, PIK3CA, PTEN, CDKN2A/p16)と肺機能および胸部CTでの肺気腫の程度との相関を見た。 〔結果〕 63名の患者に対して免疫染色を施行した。現在上記免疫染色を終了し、肺機能および肺気腫の重症度との相関を調査中である。 〔考察〕 現段階ではまだはっきりとしないが、重症COPDほどSCC driver gene発現が高まっているのではないかと期待している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標症例数は100例であり、その半数以上の免疫染色を終え、各関連Driver geneの染色陽性率を測定することができた。
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今後の研究の推進方策 |
肺扁平上皮癌患者はCOPDを合併している症例が圧倒的に多い。さらに症例数を増やすと同時に、画像上の肺気腫・肺機能上のCOPDとの関連を探るための臨床データ収集を今後行っていく予定にしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
COPD合併肺癌におけるDriver gene研究、特に抗体の免疫染色と臨床データの照合を行う予定です。
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次年度使用額の使用計画 |
免疫染色のための抗体の追加購入と臨床データの解析のための機器購入を予定しております。 海外発表も2件予定しております。
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