研究課題/領域番号 |
26462140
|
研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
秦 美暢 東邦大学, 医学部, 准教授 (90349910)
|
研究分担者 |
伊豫田 明 東邦大学, 医学部, 教授 (10302548)
磯部 和順 東邦大学, 医学部, 講師 (70385607)
坂本 晋 東邦大学, 医学部, 講師 (20425440)
大塚 創 東邦大学, 医学部, 助教 (70408855)
牧野 崇 東邦大学, 医学部, 助教 (30459797)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 肺癌 / 気管支鏡 / 個別化医療 |
研究実績の概要 |
学会発表として、小型肺腺癌に対する区域切除症例20例の画像及び病理組織所見と長期予後について検討し、すりガラス状陰影主体の場合は26mm大までの14例全例が無再発で、充実性陰影主体の場合は16mm以下の6例中4例が術後37~94か月で局所再発を生じ、特にmicropapillaryやwith mucinなどの組織所見を有するものに注意が必要であるという結論を得たため、2014年第55回日本肺癌学会総会にて「区域切除術後の局所再発と再発時治療法に関する検討」として発表した。また、80歳以上でII期・III期の超高齢者進行肺癌21例について検討し、拡大手術や集学的治療が可能な症例もあるが、予後改善のためには有効な術後補助療法の開発が課題であるという結論を得たため、2014年第114回日本外科学会定期学術集会にて「病理病期II/III期の80歳以上超高齢者肺癌に対する外科療法の検討」として報告した。また2006年にEBUS-TBNAを導入して以来の稀な合併症として、肺癌や悪性リンパ腫を疑いリンパ節結核であった場合の穿刺時排菌や気管支結核への進展について、2014年第18回世界気管支学会で「Complication related to EBUS-TBNA in patients with tuberculous lymphadenopathy」として報告した。 論文としては、高感度デジタルPCRによるEGFR遺伝子の耐性化機序を検討し、「Usefulness of nanofluidic digital PCR arrays to quantify T790M mutation in EGFR-mutant lung adenocarcinoma」としてCancer Genomics Proteomics誌にacceptされ、acknowledgementに本研究費のサポートを受けた趣旨を記載した。また、悪性気管狭窄に対する気管支鏡下治療を検討し、「Placement of self-expandable metallic stents for tracheal stenosis secondary to thyroid cancer」としてMolecular and Clinical Oncology誌にacceptされ、acknowledgementに本研究費のサポートを受けた趣旨を記載した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究に関しては、ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する申請書を東邦大学医学部倫理審査委員会へ提出し、審査を受けすでに承認済みである(平成25年9月3日倫理審査申請番号25047)。肺癌と診断されて東邦大学呼吸器外科に入院となり、本研究に対して書面での同意を得られた患者を対象とし、術前の超音波気管支鏡下生検検体と手術の際に採取した肺癌検体を用いて、臨床データの解析とともに研究を進めている。また当院ではEBUS施行時にon site cytologyによる迅速細胞診検査を施行していないが、肺癌症例に対する悪性細胞検出率は83%であり、肺腺癌症例に対しては悪性細胞検出率が73%でEGFR遺伝子変異の検出は8%であったため、検出率向上のため生検検体に対する迅速病理診断検査体制を導入した。
|
今後の研究の推進方策 |
肺癌と診断されて東邦大学大森病院呼吸器外科に入院となり、本研究に対して書面での同意を得られた患者を対象とし、術前の超音波気管支鏡下生検検体と手術の際に採取した肺癌検体を用いて、epidermal growth factor receptor (EGFR) 遺伝子変異と遺伝子増幅、K-ras 遺伝子変異、c-kit 遺伝子変異、HER2 の過剰発現、HER2 遺伝子増幅など、DNAとRNAの発現解析及び蛋白発現解析を行う。年齢、性別、喫煙、腫瘍部位、治療前腫瘍マーカー、治療前画像診断におけるpositron emission tomography (PET)のstandardized uptake value値、臨床病期、治療内容、治療反応性、無増悪期間、生存期間などの臨床的な背景や、特殊な組織型を含む病理組織診断、腫瘍径、核分裂数、リンパ節転移、病理病期などの各因子における遺伝子発現や遺伝子変異の相違を検討する。特に術前導入化学放射線療法を施行された症例については、治療効果判定結果及び無再発生存期間との関連を検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
H26年度に主な対象とした肺門縦隔リンパ節転移を有する肺癌手術症例の頻度が一定ではなかったため、検査費用として計上した金額に未使用額が生じたが、非手術症例を主な対象としたH27年度の計画の中で、手術症例に対して適切に執行する予定である。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成26年度の繰り越し分628530円と次年度の助成金1300000円のうち1528530円を検査費用として、東邦大学における研究成果を国内および海外での研究成果報告をするために、国内旅費100000円、海外旅費100000円、論文作成などの費用のため200000円を使用予定である。
|