研究課題
扁平上皮癌のdriver oncogeneの遺伝子調節領域を特異的に認識できる標的抑制型zinc finger based artificial transcription factor (ATF) を用い、肺・食道扁平上皮癌に対する新規標的療法、集学的治療確立のための基礎的検討を行った。Sox2はこれまでに扁平上皮癌において活性化される系統維持型癌遺伝子であることが報告されている(Bass et al. Nat Genet. 41:1238-42. 2009)。Sox2抑制型ATFを発現するadenoviral vectorを作製し抗腫瘍効果を解析した。当該人工転写因子は、Sox2を発現する肺扁平上皮癌細胞EBC2、食道扁平上皮癌細胞TE1、TE4、TE10においてその発現を抑制し、細胞増殖およびcolony形成能を阻害した。さらに当該adenoviral vector 感染後のEBC2をヌードマウス皮下に接種し作製したxenograftにおける腫瘍増殖は、control virus感染群と比して顕著な腫瘍増殖の抑制が観察された。このようにSox2抑制型ATFを発現するadenoviral vectorはin vitro 、in vivo双方で 肺扁平上皮癌の増殖を抑制することができた。感染後のqPCR解析Immunoblot解析で細胞周期関連遺伝子:CDKN1Aの発現増強が見られ、抗腫瘍効果誘導機序の一つと考えられた。一方で当該vectorはSox2を発現しない癌細胞株や正常ヒト繊維芽細胞株や血管内皮細胞に対してはCDKN1A発現を変えず、Sox2発現型肺扁平上皮癌に対する当該vectorの標的治療の有効性が示唆された。
すべて 2017
すべて 産業財産権 (1件)