研究課題/領域番号 |
26462147
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
町野 隆介 長崎大学, 病院(医学系), 医員 (90728081)
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研究分担者 |
中山 功一 佐賀大学, 医学部, 教授 (50420609)
田浦 康明 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (60437887)
永安 武 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80284686)
松本 桂太郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (80404268)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | trachea / 3Dprinter / bio-engineering |
研究実績の概要 |
これまでポリプロピレンメッシュを用いた生体内組織再生誘導型の人工気管や、脱細胞・再細胞化による自己組織化された人工気管の生体移植の報告が見られるが、これらの手法で使用される細胞の足場(scaffold)は生体にとって異物であり、感染や炎症性狭窄、scaffoldの長期使用での劣化のリスクが付きまとう。我々は、scaffoldを使用せず、任意の細胞のみから形成される細胞凝集体(spheroid)を自由に構築し、複雑な立体構造を作成する技術Bio-3D Printer Regenova®を用いて、自己細胞のみで構成した新たな人工気管の開発、及びこの三次元構造を構成するメカニズムの解明を行っている。 組織強度の上昇に必要なECMの産生量は細胞によって異なり、また構造体内で組み合わせる細胞の種類や細胞周囲の環境条件によっても変わる。そこで、移植操作に対応可能な硬度のチューブ状構造体の作製を目指し、spheroid内の細胞の組み合わせを検討している。NHDFs、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVECs)、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(MSCs)の組み合わせにおいて、3種類の細胞を特定の割合で混合したspheroidで作成したチューブの強度が最も高いことが確認された。またヒト関節軟骨細胞(NHACs)、HUVECs、MSCsでも同様の検討を行い、こちらでも特定の割合で3種類の細胞を混合したspheroidで作成した構造体の強度が最も高いことが確認された。そこで現在、NHDFs、HUVECs、MSCsで作成したリングと、ヒト関節軟骨細胞(NHACs)、HUVECs、MSCsで作成したリングを蛇腹状に組み合わせ、気管の構造と類似した構造体の作製を行い、カテーテル補助下にラット頸部気管への移植を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、ステント補助下にラット頸部気管へ作成した気管様構造体の移植を行っている。移植操作には対応可能な構造体強度を得ることには成功しているが、ラット気管に対してステントが固く、ステント周囲でおこる気管の屈曲、閉塞によりラットの窒息死が起こるため、1週間以上の観察ができていない。
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今後の研究の推進方策 |
ステントを用いる移植ではラット気管の屈曲を起こさないような移植方法を検討する。同時にステントを用いずとも移植後に気管の閉塞を起こさないような強度を長期維持できるチューブ状構造体の作成を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
助成金残高金額内で購入できる物品がなかったため
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次年度使用額の使用計画 |
細胞、培地、移植動物等の購入
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