研究課題/領域番号 |
26462150
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藤村 幹 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00361098)
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研究分担者 |
冨永 悌二 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00217548)
新妻 邦泰 東北大学, 医工学研究科, 助教 (10643330)
坂田 洋之 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (80722305)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | もやもや病 / 血管新生 / 幹細胞移植 / 再生療法 |
研究実績の概要 |
もやもや病における多能性幹細胞MUSE細胞の血管新生促進の概念実証を行うことを目的に以下の検討を行った。もやもや病に対する間接血行再建術による血管新生誘導モデルを確立する目的で、マウス/ラットに対して段階的頚動脈閉塞を行ったところ片側総頚動脈閉塞と二期的対側内頚動脈閉塞による慢性脳虚血誘導が確認された。さらに間接血行再建術を施行し、側頭筋からの血管新生を確認した。もやもや病により近い病態下での実験系確立を行う目的で、もやもや病疾患感受性遺伝子RNF213遺伝子多型に相当する遺伝子変異を有するRNF213ノックインマウスを作成した(Kanoke et al. Brain Res 2015)。RNF213ノックインマウスと野生型マウスとの間で脳虚血後の血管新生の程度に有意な差は認めなかった。さらにRNF213遺伝子欠損マウスとノックインマウスにおける免疫動態も検証した。RNF213遺伝子欠損マウスにおいては制御型T細胞の誘導抑制が明らかとなり免疫寛容の破綻が示唆された(Kanoke et al. Brain Res 2016)。 以上より慢性脳虚血と間接血行再建術モデルを用いて血管新生を誘導可能であることが確認された。RNF213遺伝子欠損マウスにおいてもやもや病の病態に類似した免疫能異常が示唆されたことにより、病態評価を行う上での本遺伝子変異マウスを用いた検討は有効と考えられた。尚、MUSE細胞については培養したヒト間葉系幹細胞に対して、SSEA-3/CD105抗体を用いたMACSによる分離を行い効率良いMUSE細胞の分離方法を再確認した。以上よりMUSE細胞を用いたもやもや病を模擬した動物モデルにおける血管新生促進を検証する具体的な実験系を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
慢性脳虚血と間接血行再建術モデルを用いて再現性を持って脳組織に血管新生を誘導可能であることを確認した。もやもや病疾患感受性遺伝子RNF213遺伝子欠損マウスにおいてもやもや病の病態に類似した免疫能異常を見出したことより、本マウスを用いることにより、さらにもやもや病に近い環境下での移植実験が可能となったと考えられた。 一方、実際の慢性虚血脳に対する間接血行再建術におけるにMUSE細胞移植実験での成果を得るには至っておらずMUSE細胞移植における血管新生誘導の評価を進める必要があるものと考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
これまで確立した慢性脳虚血に関節血行再建術を付加した実験系に対して、MUSE細胞分離で得られた細胞を用いて、血管新生誘導の有無について検討を行う。将来的なヒトへの応用の前提として、カニクイザルに対するMUSE細胞の移植を行い腫瘍形成の有無等を評価することによる安全性試験を予定している。
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