研究課題/領域番号 |
26462154
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
八木 貴 山梨大学, 総合研究部, 助教 (90345702)
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研究分担者 |
吉岡 秀幸 山梨大学, 総合研究部, 助教 (20402076)
木内 博之 山梨大学, 総合研究部, 教授 (30241623)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | neurovascular protection / ischemic preconditioning |
研究実績の概要 |
脳冠状断スライスの3分間の非致死的虚血群と、5分間の致死的脳虚血群において、ABC法でDABによる発色を行った免疫染色で両群間で虚血から8時間以降に海馬CA1神経細胞層および顆粒層でのNrf2の発現が確認され、その発現は脳虚血負荷から7日まで継続していた。免疫二重染色により局在を確認すると、Nrf2は神経細胞、アストロサイト、ミクログリアの全てで発現が検出された。神経細胞への発現は、両群で虚血後8時間の早期に主にCA1神経細胞層で発現の増幅が見られたが、非致死的虚血から2日目でC神経細胞に強く見られた。一方、アストロサイト、ミクログリアへの発現は虚血後7日目に主に顆粒層で最も明瞭に見られた。5分の致死的虚血群では、虚血から7日目の神経細胞死が生じる時期には、神経細胞へのNrf2の発現は顕著に低下した。 Western blotによる定量的解析では、海馬CA1領域のサンプルで、3分間の非致死的虚血群では、虚血後8時間から2日にかけてNrf2の発現の増幅が確認され、7日目には発現は低下した。5分間の致死的虚血群では、虚血後8時間で増幅を認めるが、虚血後1日以降は発現の低下がみられた。顆粒層のサンプルでは、虚血後7日目にNrf2の発現増幅がみられた。免疫染色の結果を踏まえると、CA1サンプルでの発現増幅は神経細胞でのNrf2の発現増幅が示唆され、顆粒層での発現増幅はアストロサイトまたはミクログリアでの発現増幅が示唆された。 以上より、非致死的虚血と致死的虚血でNrf2発現の動態に差があり、一過性全脳虚血負荷後のNrf2の各細胞への発現が神経細胞生存の制御に関わっていることが示唆された。
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