研究課題/領域番号 |
26462159
|
研究機関 | 独立行政法人国立病院機構四国こどもとおとなの医療センター(臨床研究部(成育)、臨 |
研究代表者 |
桑山 一行 独立行政法人国立病院機構四国こどもとおとなの医療センター(臨床研究部(成育)、臨, 臨床研究部, 脳神経外科医長 (50614236)
|
研究分担者 |
里見 淳一郎 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 准教授 (10304510)
多田 恵曜 徳島大学, 大学病院, 助教 (30547964)
永廣 信治 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 教授 (60145315)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 脳血管病 / エストロゲン受容体α/β / 脳動脈瘤破裂 / エストロゲン受容体作動薬(SERM) |
研究実績の概要 |
脳血管病の中でも脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血は、致死率は約50%となる重篤な疾患である。脳動脈瘤破裂を予防するためには外科的治療方法しかなく、脳動脈瘤破裂を予防するための薬物療法が切望されている。脳動脈瘤が閉経期の女性に多いという疾学的事実を基に、卵巣摘出(OVX)、高血圧(HT)ラットによる独自の脳動脈瘤モデルを確立した(J Neurosurg 2005)。このモデルの血管壁ではエストロゲン欠乏により、eNOSやERαの発現が低下するが、ERβの発現は高いことを認めた。ヒト脳動脈瘤標本における免疫染色でも脳動脈瘤壁においてERαの発現が低下し、ERβが代償性に働くことを示唆した。さらにマウス脳動脈瘤破裂モデルに動脈瘤形成、破裂促成効果を評価し、その有効性のメカニズムを明らかにするという着想に至った。これたが下記らかにできれば、新規治療法を構築し、かつ治療標的を新たに見出す可能性も期待される。これまでに脳動脈瘤を再現性良く高頻度に形成するモデルを確立しているが、更に脳動脈瘤破裂に至るモデルの開発にまず取り組んだ。結果、従来モデルにさらに血行動態変化を負荷し、脳動脈瘤破裂が3か月で約40%確認できた。これを破裂モデルとして用いることとし、現在選択的エストロゲン受容体作動薬(SERM)であるバゼドキシフェン酢酸塩(ビビアント)を投与することによって、脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血の破裂を抑制することを見出した。このビビアントは臨床において骨粗鬆症に対して使用されており、安全性は確認されているために、臨床応用できる可能性がある。現在、再現性の確認をその機序を解明すべく本研究を継続している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳動脈瘤形成モデルは確率していたが、破裂頻度が低いため、薬物効果を評価するには至らなかった。検討を加えた中で、血行動態変化を工夫したことで破裂頻度が3か月で約40%に達し、破裂部位での破裂率が90%となったため、薬効評価が可能となった。さらにバゼドキシフェンを投与することで、脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血の発生頻度を低下させることを見出した。
|
今後の研究の推進方策 |
1)SERMを用いて薬効評価をする。 2)効果がみられた時点で、有効性を示す作用幾序の解明に取り組む。 3)国際学会での発表や英文雑誌への投稿・記載を行う。
|