研究課題
CD200は骨髄系免疫系細胞の機能を抑制すると考えられるが、我々は脳梗塞巣に集簇するNG2陽性マクロファージは起炎症性活性を有すること、CD200高発現環境下ではマクロファージ様細胞は起炎症性に働くことを確認し、相反する結果を得た。その際、CD200陽性細胞はfull-length CD (CD200L)とtruncated form CD (CD200S)を共発現していたため、CD200Sの作用を検討した。CD200LまたはCD200S発現のラットC6細胞株を確立した(オリジナルC6細胞株はCD200の発現なし)。発育程度に差のない3つの細胞株を新生ラット脳に移植したところ、C6-CD200S細胞移植ラットはオリジナルC6やC6-CD200L細胞移植ラットよりも長期間生存した。C6-CD200S腫瘍はオリジナルC6やC6-CD200L腫瘍より小さく、アポトーシス細胞が多数認められた。C6-CD200S腫瘍の腫瘍関連マクロファージ(tumor-associated macrophages: TAMs)は、樹状細胞(dendritic cell:DC)の形態とCD86発現を示した。またCD3、CD4、CD8陽性細胞が高頻度に認められ、DC マーカー、granzyme、perforin発現が増加していた。オリジナル C6腫瘍から分離したTAMsは、C6-CD200S細胞との混合培養によりDC マーカー発現が増加した。つまりCD200SはTAMsをDC様抗原発現細胞にしてCD8陽性細胞毒性Tリンパ球を活性化し、腫瘍細胞のアポトーシスを誘導することを示していた。この結果は、脳梗塞においてもCD200SはCD200L-CD200Rによる起炎症性活性の抑制を無効化する可能性が示唆され、CD200LとCD200S作用のコントロールによる新しい脳梗塞治療手段を提供することが期待される。
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Neoplasia
巻: 18 ページ: 229-241
10.1016/j.neo.2016.02.0006.