研究課題
初年度の研究では、ウサギSAHモデル脳血管において、発症後に血管弛緩関連分子relaxinの発現が上昇するとともにrelaxin受容体の発現が低下することを明らかにした。また、次年度の研究では、血管リモデリング関連分子TIMP1、MMP9の発現を検討した。その結果TIMP1は発症後3~5日目にかけて上昇しその後徐々に減少するが、MMP9は発症後7日目にかけて漸増することが明らかとなり、こうしたTIMP1/MMP9のアンバランスがSAH後の脳血管におけるリモデリングの亢進に寄与している可能性が示唆された。本年度は、TIMP1、MMP9、relaxinといった攣縮血管における発現変動分子が実際のSAH患者の血液、髄液中においてどのような変化を示すかについて検証した。くも膜下出血発症後1、3、5、7、9、11目に患者の髄液、血液サンプルを採取した。ELISAによりTIMP1、MMP9、relaxinの髄液中、血中濃度を測定した。その結果、いずれの蛋白質の発現も検出できなかった。また、髄液、血液サンプルからmRNAを抽出し同分子の発現をリアルタイムPCRにより測定した。その結果いずれの分子においてもmRNA発現は認めたが有意な経時的発現変化は認めなかった。したがって、SAHモデルで認められた攣縮血管におけるTIMP1、MMP9、relaxinの発現変化は血中、髄液中には反映されていない可能性が示唆され、現時点ではSAH患者の脳血管攣縮発症の生物マーカーとしての役割は低いと考えられた。
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