研究実績の概要 |
血管石灰化の生成機構やその臨床的意義については未だ多くが解明されていない。頚動脈石灰化病変について蛋白質翻訳抑制または mRNA 分解を介する蛋白生成阻害に関与するとされるmicroRNA(miRNA)発現を調べ、石灰化および血管新生因子による粥腫の安定・不安定化の調節機構について検討した。頸動脈内膜剥離術において採取したヒト頸動脈プラークをカルシウムスコアを基準として高石灰化プラーク群と低石灰化プラーク群に分類し、miRNA microarray 分析を行った(n=10)。Total gene signal(TGS)>50, Log2>1, FDR<0.05 を群・個別比較より抽出、また、miResearch にて不安定性に関係する血管新生に関する成長因子と、安定性に関係する石灰化生成に関する因子に関わる遺伝子 70 種のうち context score がmedian以上かつ群比較にてFDR<0.1のものを加え、計19miRNA抽出した。qRT-PCRにより定量を行い検証すると、このうち 比較解析より hsa-miR-4530,133b, 1-3p の有意な発現低下が認められた。context score 値よりANGPTL4がtarget geneの可能性があり、miRNA抑制によるANGPTL4発現促進がプラークの安定・不安定化制御に複雑に関与している可能性が示唆された。
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