研究課題/領域番号 |
26462171
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
峯 裕 慶應義塾大学, 医学部, 訪問研究員 (10306730)
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研究分担者 |
井上 賢 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (70445378)
戸田 正博 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (20217508)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | iPS細胞 / 脳梗塞 / 悪性脳腫瘍 / 再生医療 / 神経移植 / 治療用幹細胞 |
研究実績の概要 |
1)治療用幹細胞(therapeutic stem cells, TSCs)の樹立:38C2 mouse iPS cells( Nanog–GFP–IRES–Puro )にlentivirusを用いてhumanized and CpG-free HSV1tkを導入し、治療用mouse幹細胞を作成しGCVに対する感受性を確認した。またhuman iPS cells (253G1とintegration-free 1210B2)を用いて、上記同様、humanized and CpG-free HSV1tkをiPSCの段階で導入し、GCVに対する感受性を確認した。またiPS-NSC 2nd neurosphereに同遺伝子を導入したTSCを確立した。 2)脳血管障害に対する再生治療開発:片側中大脳動脈閉塞(middle cerebral artery occlusion, MCAO)モデル作成および行動学的評価法(stepping test, cylinder test, stair case test 等)が安定して可能となった。 3)悪性脳腫瘍に対する遺伝子細胞治療法開発:In vitroにてmouse iPS cell由来TSC-NSCはU87, U251をGCV連日投与7日でほぼ死滅させた。human iPS-NSC由来TSCに関しても上記同様の効果を確認した。In vivoでは、ヒト悪性脳腫瘍モデル動物として、ヌードマウスにU87, U251、ヒト脳腫瘍幹細胞であるHG008を1×105個移植しモデルとして確立した。U87を用いた悪性脳腫瘍モデルマウスにhuman iPS-NSC由来TSCを移植しGCV投与したところ、平均生存期間は対照群19.3日、治療群は33.8日と統計学的に有意に延長し、カプランマイヤー生存曲線でも有意に延長した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
治療用幹細胞は樹立され、in vitroおよびin vivo両者において悪性脳腫瘍モデルに対する治療効果も確認出来た。しかし、治療用幹細胞を再生医療で用いるために必須条件である長期生存及び安全性の確認、更には脳梗塞モデルでの治療効果の検討が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
治療用幹細胞の安全性の確認、脳梗塞モデルに対する治療効果の検討を進める。また、悪性脳腫瘍ならびに脳梗塞に対する治療効果、更にはその機序に関する検討も同時に進めていく。 更には将来の臨床応用に向け、より安全でquality controlが容易である治療用幹細胞の作成に意を注ぎたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度、TSC(治療用幹細胞)作成、腫瘍モデル(in vitro, in vivo)を中心に施行した。脳梗塞モデルなど動物モデルへの注力が少なく、次年度への残額が発生、上記結果となった。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は脳梗塞、脳腫瘍モデル動物を用いたin vivo の実験を中心に施行する予定である。また生体内での振る舞いを見るために、slice culture等の実験系も合わせて行う予定である。
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