研究実績の概要 |
対象) 分化誘導薬AICAR(C9H14N4O5, 分子量258.23)5mg をPBS 950ulに溶解,50mM に調整し-20℃にて保存した。グリオーマ幹細胞bRiTs-G3をDMEM/F12, bEFF, bFGF, Heparan Sulfate, B27 Supplement Vitamin Aで調整した培養液にて5% CO2,37℃ にて浮遊培養した。 方法)①AICAR のグリオーマ幹細胞への細胞毒性,細胞増殖抑制を検討すべく96 well round plate を用い、AICAR を10mM から10段階,倍数希釈で濃度を振り48時間後の細胞増殖抑制効果についてWST assay を用いて検討した。②同様の手法を用い幹細胞の特性であるsphere 形成能の抑制効果についても検討した。③幹細胞性の変化について検討すべくwestern blot 法を用いて,幹細胞マーカーであるNestin, CD44, Musashi, CD133, sox2 および星細胞分化細胞マーカーであるGFAP, betaIII-tubullin について検討した。 結果)①AICARは最大濃度においても,グリオーマ幹細胞増殖の抑制効果は認められなかった。②一方sphere 形成数はAICAR濃度依存性に低下し,AICAR はグリオーマ幹細胞の分化を誘導する作用があることが確認された。③Control 群はPBS 投与群,治療群は1mM AICAR で48時間培養後の細胞群とし、実験を行った。Nestin, CD44 に関しては治療群で発現が低下が確認され、betaIII-tubullin は治療群で上昇していた。このことよりAICAR 投与により幹細胞性が低下し,分化を誘導していることが示唆された。Musashi,CD133, sox2, GFAP に関しては検出できず,今後抗体を変更するなどして再検する予定である。 まとめ)幹細胞に対する分化誘導薬AICARの投与によりグリオーマ幹細胞の増殖抑制は認められないが、分化誘導作用を認めることが明らかとなった。
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