研究実績の概要 |
アミノ酸トランスポーターLAT1(L-type amino acid transportor 1)はがん細胞において発現が上昇していることが知られ、これにより神経膠腫でもメチオニンPETの高集積がみられると考えられている。近年、LAT-1発現にc-mycが関与していること、またLAT1の細胞内シグナル伝達の下流にmTORが存在することが明かとなってきた。c-myc, mTORともにがん幹細胞の幹細胞性維持に関与していることが考えられることから、本研究ではLAT1の脳腫瘍幹細胞性維持機構への関与につき明らかにすることとした。 神経膠腫33例(男性14例、女性19例、年齢5歳~81歳を対象とした。術前メチオニンPET検査を行い、ニューロナビゲーションシステムに術前3T MRI画像とfusionして手術に用いた。必要時には術中MRIシステムを用いてupdate navigationを行い解剖学的な位置情報を再確認した。ナビゲーションシステムのスクリーンショット機能を使用し、メチオニンの集積程度、MRIガドリニウム造影の有無を記録した後、標本を分取しホルマリン固定を行った。 全例でH-E染色、p53, EGFR, MGMT,ki-67, mIDH1の免疫染色を施行し、WHO分類に基づいて病理診断をおこなった。9例がlow grade gliomaと診断され、24例がhigh grade gliomaと診断された。 現在は、c-myc, HIF-1α, mTOR、LAT1, LAT2, CD133の各種抗体を入手し免疫染色およびウエスタンブロットの条件検討を行っている。 今後は、それらのタンパク質の発現の相関、メチオニンPETの集積、腫瘍の悪性度との相関を検討する予定である。
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