研究実績の概要 |
アミノ酸トランスポーターLAT1(L-type amino acid transporter 1)は、がんにおいて発現が上昇していることが知られ、これにより神経膠腫でもメチオニンPETの高集積がみられると考えられている。近年、LAT1発現にc-mycが関与していること、またLAT1の細胞内シグナル伝達の下流にmTORが存在することが明かとなってきた。c-myc, mTORともに幹細胞性維持への関与が知られていることからLAT1もがん幹細胞の幹細胞性維持に関与している可能性が考えられる。そこで、本研究では、LAT1の幹細胞性維持機構への関与を明らかとすることとし、治療への可能性につなげることを目的とした。H26年度は神経膠腫手術患者33例について、ニューロナビゲーションシステムを用いて術前メチオニンPEのT集積の高い部分と低い部分を採取した。H26年度はこれらの標本についてWHO grade, p53, MGMT, mIDH1について検討した。H27年度は主要幹細胞に関連するc-myc, HIF-1α、mTOR、CD133とアミノ酸トランスポーターLAT1, LAT2の発現について免疫染色を行った。CD133の免疫染色が安定しなかったため、CD133と同様に幹細胞マーカーとしてよく用いられるSOX-2についても検討を行い安定して綺麗な免疫染色を行える条件が確定した。現在10例の染色が終わっており、今後症例を増やすとともにこれらのタンパク質の発現の相関、またT/N比との相関、腫瘍の悪性度との相関を検討する。
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