研究課題/領域番号 |
26462179
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
坪井 昭博 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座教授 (10372608)
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研究分担者 |
橋本 直哉 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90315945)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 腫瘍免疫 / ペプチドワクチン / WT1 / 脳腫瘍 |
研究実績の概要 |
我々は腫瘍細胞で高発現しているWT1を標的とした癌特異的免疫療法の開発を行っている。悪性神経膠腫は依然極めて予後不良な悪性腫瘍で、効果的な新規治療薬を必要としている。我々はこれまでにHLA-A*24:02を有する悪性神経膠腫を対象としてHLA-A*24:02拘束性WT1キラーペプチドワクチンと化学療法薬(テモゾロミド)を併用した癌化学免疫療法と再発悪性神経膠腫を対象としたHLA-A*24:02拘束性WT1キラーペプチドとWT1ヘルパーペプチド併用療法のそれぞれ第I相臨床試験を行い、共に忍容性がある事と高率な無増悪生存を示し、期待できる治療法である事を報告した。日本人においてはHLA-A*24:02を有する患者は6割程度で、4割程度の患者さんはHLA不適合のため対象外とされていた。そこでHLA-A*24:02の次に多いHLA型であるHLA-A*02:01を有する患者も対象となれるように、本研究では、新たな臨床試験としてHLA-A*24:02とHLA-A*02:01それぞれに拘束性のWT1キラーペプチド2種類とWT1ヘルパーペプチド1種類の計3種類のWT1ペプチドを混合しモンタナイドアジュバントとエマルジョン化して投与する新規WT1パプチドワクチンの臨床試験を行うことにした。初発症例については現在標準療法とされているテモゾロミドを併用し、テモゾロミド投与後の再発症例についてはWT1ペプチドワクチン単独での試験を行い、有用性についてのエビデンスを得る事を目的としており症例集積を行っている。3種類併用は初めてとなるので3+3cohortの第I相試験を行い、有害事象が許容範囲内であれば、第II相試験に進む予定としている。また基礎的には効果良好群と不良群を比較する事で効果発現機序の解析、予後予測因子の同定を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
我々の研究チームでの臨床試験実施体制をGCPに準拠できるレベルまで上げるため、組織の体制づくりを行ったが、それのための時間を要したため開始が想定より遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
プロトコールに準拠して臨床試験を行い、新規WT1ペプチドワクチンの有用性を明らかにする。また付随研究として行う、各種免疫担当細胞や遺伝子発現の変化を解析することにより、WT1ペプチドワクチンによる抗腫瘍反応のメカニズムを明らかにしたり、効果と相関するマーカーの同定を行う予定としている。
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