研究課題
1) mTOR シグナル制御下でのメタボローム解析mTOR阻害薬(ラパマイシンまたはPP242)を投与後の培地測定でグルコース消費の促進と乳酸生成の亢進を認めた。また、メタボローム解析では細胞内のグルタミン酸、α-ケトグルタル酸、クエン酸(イソクエン酸)、コハク酸、の有意な上昇を認めた。2) mTOR よる代謝分子の制御機構関連代謝酵素の解析では、グルコース代謝関連分子であるグルコーストランスポーター(Glut1)、乳酸脱水素酵素(LDHA)、ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ 1(PDK1)のmRNA発現低下とともに、グルタミンからグルタミン酸産生を調節する代謝遺伝子グルタミナーゼ (GLS)の発現亢進を認めた。3) mTOR シグナルのグルタミン代謝制御機構の解明ラパマイシン(mTORC1ターゲット)に比べPP242(mTORC1およびmTORC2ターゲット)の方がグルタミン代謝に対する影響が大きかった。これはmTORC1だけでなくmTORC2がグルタミン代謝に寄与している可能性を示唆した。
2: おおむね順調に進展している
mTOR シグナル下ではグルコース代謝の抑制とともに、グルタミン代謝に関連する代謝分子の発現亢進あるいは機能亢進が認められる。これはがん細胞の代謝リモデリングの一部を示しており、TCA回路内の代謝物の維持やATPエネルギー産生の維持に関与することが考えられた。ここまでは我々の仮説に沿っており、今後はグルタミン代謝に焦点を絞って解析することが可能であるため。
今後はmTOR シグナル抑制によって変化の見られるマイクロRNAを抽出し、グルタミン代謝酵素に関連のあるものを吟味する。また同時に、mTOR 阻害剤とグルタミン代謝阻害剤(Compound 968)の併用効果を培養細胞やグリオーマ患者から樹立した初期継代培養を使用して、細胞増殖能の変化やアポトーシスの誘導などについて解析する予定である。
実験器具(プラスチック製品など)が若干、安価に購入できたため。
来年度のメタボローム解析費用に計上する。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)
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