研究課題
本研究では、腫瘍微小環境をターゲットとした分子標的薬と新規腫瘍溶解ウイルス(OV: 34.5ENVE)との併用による治療効果について実験する。次に分子標的薬と新規OV 治療との併用療法による相乗効果についてのメカニズムを調べ、OV の効果をさらに増強させる因子を探していく。応募者らは過去に、OV をより効果的な治療戦略とするため悪性グリオーマに対するOV を用いた腫瘍微小環境についての研究を行ってきた。この研究で我々が得た結果では、新規分標的薬cRGD ペプタイド(Cilengitde)を用いて炎症を抑え、OV による抗腫瘍効果をより増強し、治療効果を高めることができた。さらに我々は抗血管新生作用を持つvasculostatin という蛋白を発現する新規OVであるRAMBO (for Rapid Antiangiogenesis Mediated By Oncolytic virus)を使用し、単独の治療効果、Cilengitide との併用効果を得ることができた。最近の報告では、YooらはOVである34.5ENVE(viral ICP34.5 Expressed by Nestin promotor and Vstat120 Expressing)を作製している。Nestin promoterにてICP34.5 がドライブされることにより増殖が促進される。また、同時に血管新生作用を持つvasculostatin を発現するOV である。我々は新規分子標的薬(Cilengitide)と併用によりOV治療の効果を増強することができたが、この結果を発展させるために、オンコリティックウイルスや薬剤について、本研究のセットアップを行っている。第二種使用等拡散防止措置確認の再申請をしているところである。
3: やや遅れている
第二種使用等拡散防止措置確認の再申請をしているところであり、慎重な審査が行われているためである。代替実験として、RAMBOを使用した、抗浸潤作用の実験を行っており、34.5ENVEのコントロール実験とする予定である。
新規OV34.5ENVE の効果について検証し、インテグリン阻害剤との併用効果について検討する。腫瘍はU87dEGFR などのヒト脳腫瘍細胞系列や脳腫瘍患者から承諾を得て採取した腫瘍由来細胞を用いて、脳腫瘍マウスまたはラットモデルを作製し、生存期間や腫瘍径を調べる。さまざまな脳腫瘍モデル(幹細胞もモデルも含む)を用い、同様の効果がえられるか否かを検討する。アルキル化剤テモゾロミドや他の分子標的薬Bevacizumabとの併用について検討する。さらには血管透過性の亢進を調べ、OV単独群とOV と薬剤との併用におけるウイルス力価の評価、ウイルス由来のgene 量または、mRNA 量を調べる。
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