研究課題/領域番号 |
26462184
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
上羽 哲也 高知大学, 教育研究部医療学系, 教授 (00314203)
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研究分担者 |
八幡 俊男 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (40380323)
東 洋一郎 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (80380062)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 膠芽腫 / エピゲネティクス / メチル化DNA結合タンパク |
研究実績の概要 |
悪性グリオーマの各分化レベルにおけるMBD1 の機能を探索するために発現様式の決定を目指した。メチル化 DNA結合タンパクMBD1には、N末端から3番目のシステインリッチドメインの有無に違いがあるアイソフォームがある。この領域を持つMBD1(CXXC-3)は、線維芽細胞増殖因子2の転写抑制や悪性グリオーマ細胞のアポトーシスを誘導する機能を示すが、この領域を欠くMBD1(ΔCXXC-3)は、これらの機能が損なわれている。この2つのアイソフォームの発現が、がん化や細胞分化レベルによる変動と相関性があるか検討するために、正常組織及び細胞や悪性グリオーマ幹細胞株とその分化細胞において、半定量的PCRや定量的PCRを用いて、それぞれのmRNA量を測定した。精巣や星状細胞では CXXC-3の発現が多く、反対に、神経細胞やテロメレース不死化線維芽細胞株ではΔCXXC-3の発現が多いことが観察された。大部分のグリオーマ細胞では、以前の報告と一致してΔCXXC-3のmRNAは、CXXC-3と比較して、約10倍程度、多いことが検出された。しかしながら、一部のグリオーマ幹細胞の初代培養では、ΔCXXC-3よりもCXXC-3を多く発現した。このシステインリッチドメインは、悪性グリオーマ幹細胞に対するマーカーやこの領域を発現制御する治療標的となる可能性が考えられた。さらに、MBD1のゲノム領域の機能的解析を目的として、各種ベクターからなる資材の整備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
メチル化DNA結合タンパクMBD1のminigene constructの作製に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
悪性グリオーマの各細胞分化レベルにおけるMBD1 の発現様式の決定 CXXC-3ドメインの有無に差のあるアイソフォームを識別する抗体が存在しないため、ネイティブなタンパクレベルでの解析に限界がある。このアイソフォームの機能等を予測するために、この領域に対する抗体作製を開始した。また、抗体が上手く出来ない場合も考慮して、生細胞で使用出来、mRNAレベルでアイソフォームを検出するmolecular beaconの作製も予定している。解析は、悪性グリオーマ患者由来の臨床検体や細胞株等を用いて、免疫組織化学染色やフローサイトメトリーで実施する。 MBD1のノックアウトやノックダウンによる機能的解析 shRNAとゲノム編集の技術を利用してMBD1をノックダウンし、分化誘導により幹細胞及 び分化細胞マーカーの発現変化をフローサイトメトリーと免疫染色により観察する。また、これに伴うがん幹細胞の治療抵抗性の変動や造腫瘍性に与える影響も検討する。さらに、MBD1をノックアウトした悪性グリオーマの分化細胞におけるリプログラミング活性を幹細胞の出現や多組織の細胞への分化を指標にして検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進行が若干、遅延したために予算の全てを消費しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
予定通りに研究を遂行するために消耗品に使用する予定である。
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