研究課題
(1)動物モデルWT1ペプチド治療実験は、ラットから変更し、マウスとしてC(H-2Db)57BL/6を用い、正常マウスおよび担脳腫瘍(3LLおよびB16メラノーマ細胞由来)マウスを作成した。それらに対してマウスMHC class I 拘束性(H-2Db)WT1ペプチドDb126(a.a.126-134 RMFPNAPYL)を投与し、その免疫反応、組織反応を検討した。その結果、正常マウス脳に対してそれらの担脳腫瘍マウスでは、ラット・Walker 256 carcinoma移植脳と同じく、限局性であったが免疫担当細胞の集族が認められた。またそれらの細胞はWT1を発現していることを確認した。しかしながらWT1ペプチドによる効果発現は軽度であった。(2)ヒトにおいて、膠芽腫に対しWT1ペプチドを皮内投与したのち、局所皮下組織においてCD4およびCD8免疫担当細胞が集族していることを確認した。それらはワクチン治療継続4年後でも維持されており、WT1テトラマーアッセイによるWT1特異的キラーT細胞も認められた。ワクチン治療は長期治療にも有効であることが確認できた。(3)転移性脳腫瘍の外科手術による腫瘍摘出時に再手術した腫瘍組織および辺縁組織の蓄積がある。それらに対し、a)担癌患者の分子標的療法治療時、腫瘍抗原に対する免疫応答の解析を行った。すなわち、WT1特異的CTLをCD27/CCR7/CD11aの各抗細胞表面抗原抗体を用いて染色を行い、ヒトでの細胞性免疫応答の動態を把握した。今までの検討では固形癌患者で治療前すでに血中WT1特異的CTLは量的に増加しており、癌細胞表面のWT1抗原によって体内で感作されていることを証明している。そのなかで脳転移が認められた段階で、同様に免疫応答の解析、同じくWT1特異的キラーT細胞の動態解析を行ったが有意な変化は認められなかった。
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