研究課題/領域番号 |
26462196
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
川口 奉洋 東北大学, 大学病院, 助教 (10723447)
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研究分担者 |
中川 敦寛 東北大学, 大学病院, 助教 (10447162)
鷲尾 利克 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 主任研究員 (40358370)
荒船 龍彦 東京電機大学, 理工学部, 助教 (50376597)
小川 欣一 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (60606383)
大谷 清伸 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (80536748)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 医療機器開発 / レーザー / 機能温存 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、申請者らが基礎原理を開発し、現在、手術用治療器として産学連携体制で開発を進めている液体ジェットメスを用いて、拡大蝶形骨洞的腫瘍摘出術の適応となる頭蓋底腫瘍の中でもさらに難易度の高い、海綿静脈同内へ伸展する腫瘍摘出に際し、出血を制御しながらの腫瘍切除と神経および細動脈の温存を両立させることを目的としている。これまで、この高い組織選択性が再現されたことにより、本デバイスが治療成績の向上に寄与し得るポテンシャルを有していることが示され(統計学的有意に摘出率の増加、出血量の減少、手術時間の短縮効果)、米国脳神経外科学会と英文査読誌で報告した。本研究期間内では、1) 初年度に得られた知見をもとに液体ジェットメスを試作すること 2)次年度に予定されている動物実験の評価系を構築すること、を到達目標としている。液体ジェットメスの飛沫制御や流体力学的特性、さらには組織特異的な物性値に基づき、レーザーの強度やハンドピース先端の形状を整え、最適なジェットが射出可能となるよう試作した。神経、細血管を深部頭蓋底手術でも温存可能である可能性が示唆された。 本研究課題は東北大学流体科学研究所で蓄積してきた流体力学的な知見をもとに実臨床へ応用し有用性が期待されるきわめて重要なテーマである。このような医工連携の成功例はいまだ少なく組織構築の成功例と考える。また、最大限の病変切除と機能温存が両立する可能性が高い点で、独創性と学術的意義がある。液体ジェットメスとそのコア技術は様々な疾患に対する水平展開と機器開発を含めた産業化に繋がる点においても意義がある。液体ジェットが神経組織に与える影響を動物生体~細胞レベルで電気生理学的、病理組織学的に明らかにし、動物実験による非臨床レベルで概念実証(POC)を確立することを到達目標とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は平成26年度から平成28年度までの3年間で行う研究であり、初年である平成26年は、液体ジェットの流体力学的特性や、脳神経組織の組織特異的な物性値測定を行った。これらをもとに、液体ジェットメスの飛沫制御に関する新たな知見を得た。2年目の本年度は初年度で得られた知見をもとに、液体ジェットメスハンドピースを改良・試作した。また、これまでの成果について、知財獲得ののちに学術発表を行った。最終年となる平成28年度は、これらを用いて動物実験を行い非臨床POCを目指す。これらの実験は、東北大学医学部動物実験施設内の既存の施設において、申請者が行う。 初年度、および2年目となる本年度ともに、おおむね計画通り研究が進行し、期待通りの成果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は平成26年度から平成28年度までの3年間で行う研究であり、3年目となる平成28年度は、これまで得られた成果とそれらをもとに試作した液体ジェットメス用いて動物実験を行う。生物光学的・工学的観点も踏まえて液体ジェットが電気生理学的および病理組織学的に、安全かつ有効に切開可能であることを示す。神経組織および細血管温存が可能であることを示し、非臨床POCを得るところまでを本研究期間内に実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に予定していた液体ジェットメスの試作費が予定より減少した。
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次年度使用額の使用計画 |
当該研究費を次年度繰り越し分として計上し、動物実験で使用するマウスや消耗品の購入に充当する計画である。
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