研究課題/領域番号 |
26462197
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
遠藤 俊毅 東北大学, 大学病院, 助教 (00535370)
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研究分担者 |
岩崎 真樹 東北大学, 大学病院, 講師 (00420018)
中川 敦寛 東北大学, 大学病院, 助教 (10447162)
鷲尾 利克 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 主任研究員 (40358370)
大谷 清伸 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (80536748)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 脊髄 / ブタ / 物性値 / 灰白質 / 白質 / ウォータージェットメス |
研究実績の概要 |
【パルスジェットの流体制御と組織選択性向上に関する工学的検討】 麻酔下にあるブタ背側からアプローチした。椎弓切除、硬膜切開の後、ブタ脊髄を摘出した。取り出したブタ脊髄をもちいて灰白質、白質ならびに脊髄神経組織の物性値;破断強度を測定した(n=5)。その際、脊髄神経組織の物性値は、軟膜ありの場合と軟膜なしの場合、別々に測定した。その際の結果は概ね脳組織で得られたデータと同等の所見であった。脊髄において顕著であったのは脊髄表面に露出する白質組織の硬さについてである。具体的には、脊髄軟膜に覆われている状況とそうでない状況でその破断強度に大きな差が認められた。 これとは別に、流体制御に関する模擬モデル実験からパルスジェットメスの破砕効率を算出した。臨床で使用を検討している出力5ボルトから30ボルトにおけるジェット圧力を測定し、解析したところ、脊髄の剥離操作における指摘出力が下記の通り考察された。 1)軟膜を切離して脊髄剥離操作を行う場合には5あるいは10ボルトのジェット出力が適当である。2)軟膜を切離せずに脊髄剥離操作を行う場合には15ボルトのジェット出力が必要である。しかし、15ボルトの出力は脊髄の白質、灰白質ともに損傷をしてしまう危険を生じてしまう。 正常脊髄周囲には軟膜、くも膜があり、脊髄神経は弾性線維に富む神経周膜で覆われていることから、組織選択制が生じる余地があった。理論上、パルスジェット強度の条件最適化により脊髄神経機能温存下に病変摘出を行うことが可能と思われるが、測定し、すでに測定している脳と同等であることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度にブタ脊髄の組織物性値を測定する事ができた。さらに流体制御に関する模擬モデル実験から脊髄剥離に必要なパルスジェットの出力についての目安をつけることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、平成27年度にブタ脊髄剥離操作におけるパルスジェットの試用を行う。特に動物実験においてブタ脊髄の機能評価につながる神経モニタリング方法の確立を行いたい。
平成27年度の研究実施計画【動物実験:神経機能温存と脊髄剥離操作両立の証明を東北大学医学部動物実験施設で予定している】
全身麻酔下豚椎弓切除および脊髄露出とパルスジェットメスの試用 A) 脊髄をパルスジェットメスで切開し、模擬モデルをもちいた実験により算出したパラメータ(レーザー条件(エネルギー・周波数)、形状(ノズル先端形状・ノズルファイバー先端間距離)条件を検証。既存デバイスである超音波メスとの比較検討を行う。B) 脊髄後索の機能モニタリングのための感覚誘発電位測定下にパルスジェットメスを使用して脊髄後正中裂を切開。神経温存を可能とするパラメータをふくむ知見を蓄積する。C) 組織学的検索 本試験はnon survival studyである。試験終了後は切開、破砕部周辺を病理標本として解剖学的構造物温存の程度について組織学的検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度使用予定額と併せて動物実験において ブタ脊髄の機能評価につながる神経モニタリング方法の確立のための消耗品購入を予定している。
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