研究課題/領域番号 |
26462198
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山本 哲哉 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (30375505)
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研究分担者 |
中井 啓 筑波大学, 医学医療系, 講師 (50436284)
松村 明 筑波大学, 副学長 (90241819)
磯辺 智範 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (70383643)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | BNCT / アミノ酸エステル / 加速器中性子照射装置 |
研究実績の概要 |
ホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy:BNCT)の治療効果は、ホウ素化合物(Boronophebylalanine:BPA)の腫瘍内への取り込み度合いに依存する。我々はBNCTの治療効果向上を目指すべく、細胞内ホウ素濃度を上昇させる手法としてアミノ酸交換輸送に着目した。これまでに、System Lによる交換輸送が活発なCHO-K1細胞を対象とし、アミノ酸エステル(L-Tyr-O-Et、L-Phe-O-Et、L-Met-O-Et)とBPAとの同時投与が細胞内ホウ素濃度を上昇させることを報告した。本報告でアミノ酸エステルとBPAとの最適投与条件を見出すことができたため、次のステップとして、他の細胞(U87細胞、C6細胞、9L細胞、CT26細胞、V79細胞など)での検証、ならびに中性子照射による効果判定の実験を試みた。しかし、本研究とは別に行っている加速器中性子源の開発プロジェクトの遅延によって中性子ビームが得られなかったため、ロシア共和国連邦にあるノボシビルスク大学(The Budker Institute of Nuclear Physics (INF) of the Academy of Sciences of the Russian Federation (ASRF))と連携し、加速器中性子照射装置を利用した中性子照射の予備実験を2回(2015年11月、2016年3月)実施することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ノボシビルスク大学での中性子照射実験では、U251、V79、CHO-K1の各細胞を対象とし、boric acid(ホウ酸)の濃度を数種類に変化させて投与し、中性子線照射による殺細胞効果とホウ素濃度依存性を調査した。先方の研究者の全面的な協力により、中性子線照射実験は無事に終了した。現在、実験データを解析中である。
当初計画では動物実験を開始する予定であったが、国内での加速器中性子照射装置の確保が困難であったことから海外での実験となったのがその理由である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの中性照射実験のデータを解析した上で、各種細胞(U251、V79、CHO-K1)を対象としたBPAとアミノ酸エステルとの同時投与条件における中性子照射実験を実施し、殺細胞効果とホウ素濃度依存性を明らかにし、中性子線照射の効果判定に必要な細胞内ホウ素濃度を推定できると考えている。現段階では、共同研究先の中性子ビームの利用を想定しているが、本中性子ビームが得られないと予想される場合には、ノボシビルスク大学での中性子照射実験を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
共同研究先の加速器中性子照射装置の開発が遅れているため、中性子照射実験の計画の実施が予定よりも遅れた。
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次年度使用額の使用計画 |
照射実験を海外施設の共同実験に切り替え、2015年末より行っている。 2016年には、繰り越しした研究費を使用して、遅延している照射実験についても合わせて行っていく。
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