研究課題/領域番号 |
26462199
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
平戸 政史 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00173245)
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研究分担者 |
宮城島 孝昭 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40625365)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 機能脳神経外科学 / 視床皮質律動異常 / 低周波干渉 / 視床 / 定位脳手術 / 微小電極法 / 中枢性脳血管障害後疼痛 / 運動異常症 |
研究実績の概要 |
視床感覚核(Vim-Vcpc-CL核)刺激術を行った中枢性疼痛症例3例、および視床腹中間核(Vim核)凝固術を行った本態性振戦例2例において、術中、微小電極法により2本の電極(3mm間隔、矢状面に平行、同時記録)を用いて視床での自発神経活動を記録すると共に、視床において認められる短・高周波burst状活動電位について、その出現部位、頻度、電気的特性を検討している。さらに、術後データプロセッサーを用い記録された自発神経活動local field potential(LFP)の周波数帯域別解析を行っている。又、視床下核刺激術を行ったパーキンソン病寡動例9例においも、術中記録された視床下核の自発神経活動について低周波神経活動を中心に解析を行っている。一方、以上の中枢性疼痛症例3例、本態性振戦例2例、パーキンソン病寡動例9例において手術前後にPET (FDG) studyを行ない、大脳皮質運動、感覚野(近傍)を中心に機能変化部を捉え、これにより神経細胞活動亢進部、すなわち、edge effectが生じている構造、部位を検討している。 今回対象とした疾患とは異なるが、脳腫瘍症例において微小電極法を用いた視床神経活動記録を行い、特に悪性脳腫瘍症例において腫瘍近傍6.3±4.5 mm (mean±SD)から0 mmにおいて神経活動の低下、神経活動低下域手前3±1.4 mm から低下域までの領域において短・高周波burst状放電を認め、今回対象とした疾患と同様の電気生理学的異常所見を認めている。脳腫瘍症例において、これらの所見の原因として抑制性GABA神経細胞の選択的機能低下が示唆されており、本研究対象疾患においても同様の機序が示唆される。視床・皮質律動異常における皮質低周波干渉の成因となる視床短・高周波burst状放電(活動)の原因病態として興味深い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
中枢性疼痛症例、本態性振戦例、およびパーキンソン病寡動例いずれにおいても、視床手術、脳深部手術の際、大脳皮質運動-感覚野、及び近傍の脳波記録のための硬膜外4連ストリップ電極の挿入が出来ていない。従って、データプロセッサーを用いての記録された脳波の周波数帯域別解析、同部位における低周波oscillation、低-高周波oscillation干渉についての解析が進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
今後視床手術を行う中枢性疼痛症例(視床感覚核刺激術予定)、及び脳血管障害後振戦例(視床腹中間核刺激術予定)、パーキンソン病振戦例(視床運動感覚核凝固術予定)、及び本態性振戦例(視床運動感覚核凝固術予定)において、術中、微小電極法により視床での自発神経活動を記録すると共に、視床神経活動の低閾値calcium spike、短・高周波burst状活動電位(過分極状態)について、その出現部位、頻度、電気的特性を検討する。術後、データプロセッサーを用い記録された自発神経活動local field potential (LFP)を周波数帯域別に解析し、特に低周波oscillationについて検討する。さらに、同手術例において硬膜外電極を留置し、大脳皮質運動-感覚野、及び近傍の脳波を記録する。術後、データプロセッサーを用い、記録された脳波の周波数帯域別解析を行い、同部位における低周波oscillation、低-高周波oscillation干渉について検討する。又、脳深部刺激治療を行うパーキンソン病寡動例(視床下核刺激術予定)において、術中、微小電極法により視床下核の自発神経活動を記録すると共に、術後データプロセッサーを用い記録された自発神経活動local field potential(LFP)を周波数帯域別に解析し、特に低周波oscillationについて検討する。 以上の症例において、手術前後にPET (FDG)、functional MRIによる機能画像解析を行い、大脳皮質運動、感覚野(近傍)を中心に神経細胞活動亢進部、すなわち、edge effectが生じている構造、部位を明らかにする。最終的に、視床-皮質間の情報の流れを妨害し、症状を出現させると考えられるThalamocortical dysrhythmiaの存在をヒトにおいて実証、明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品の購入が予定より少なかったため、物品費に少額の余剰を生じた。同様の計画で研究を遂行するために必要であり、次年度の消耗品購入に使用する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
記録用電極、ディスク等の購入。
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