研究課題/領域番号 |
26462201
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
杉山 憲嗣 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (00235904)
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研究分担者 |
浅川 哲也 浜松医科大学, 医学部, 特任講師 (00469917)
野崎 孝雄 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (10598494)
間賀田 泰寛 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 教授 (20209399)
難波 宏樹 浜松医科大学, 医学部, 教授 (60198405)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ラットパーキンソン病モデル / ドパミン受容体 / 視床下核刺激 / 淡蒼球刺激 |
研究実績の概要 |
本研究は、我々が過去に行ってきた、パーキンソン病に対する脳内ドパミン受容体と、脳深部刺激術の脳内ドパミンに及ぼす変化とダイナミズムをラットパーキンソン病モデルを用いて、さらに解明する事である。 今までの我々のラットパーキンソン病モデルでのデータでは、内側前縦束(MFB)破壊モデルでは、作成4週間後に一旦D2受容体の結合能が高まり、その後、6ヶ月後では低下に向かうという、臨床でのパーキンソン病と同様の経過が認められていた。一方、基底核破壊モデルでは、このようなup-regulationは認められず、基底核破壊モデルは、臨床での脳血管性パーキンソニズムなどにより近いモデルであるというのが、我々の過去の研究の結論であった。MF破壊モデルで本up-regulationが、モデル作成後、いつ頃から生じてくるのか解明することも今回の研究の課題の一つである。以上のドパミンD2受容体変化をベースとして、さらにこれに各部位の脳深部刺激を加えた場合のドパミン受容体変化とダイナミズムを観察する事が2つ目の本研究の目的である。我々の臨床でのPETによる研究では、パーキンソン病患者に視床下核刺激術を施行すると、基底核でなく、側座核や尾状核などでのドパミン放出が認められ、可能性として、視床下核背側を走行しているドパミン神経線維を刺激している事が考えられた。しかしながら、臨床的同等の運動改善効果をもたらす淡蒼球周囲には、ドパミン神経線維は走行して居らず、視床下核と異なった機序が存在する可能性が示唆される。そのために、動物用PETやGamma counterを用いてドパミンD2受容体の変化を、1)特にパーキンソン病モデル作成早期の変化、2)視床下核、淡蒼球脳深部刺激を行った際の変化を測定する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2014年に当大学メディカルホトニクスセンター(現光尖端医学教育研究センター)の動物用PETが故障し、その後同PETは復旧せず、実験にヒト用のPET装置を使用して行ったが、PET画像の解像度は良好であったにもかかわらず測定値にばらつきが生じた。このばらつきは、実験プロセスのテクニカルエラーというよりも、PETでD2受容体の結合能を測定する精度の問題を考え、この精度を上げるためには、かなりの時間と経験を要する事が予想された。そこで、PETによって同一個体を経時的に測定していく当初の予定を一旦棚上げし、以前に行っていた手技に戻して、Gamma counterによる測定に切り替える事にした。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度前半に、Gamma counterによってドパミン受容体の早期変化のデータを取得し、その後、脳深部刺激によるドパミン放出の有無をPETまたはGamma counterによって測定して行く予定である。Gamma counterを使用する従来の方法は、動物を安楽死させた上で脳を取り出して行うため、同一動物での経時的測定ができない欠点があり、そのために使用動物数の変更を強いられる事になる。
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次年度使用額が生じた理由 |
ヒト用PETを用いた実験から、Gamma counterを用いた実験に切り替えたため、動物頭数や実験日時、さらには機器使用料などに齟齬が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
Gamma counterを用いてD2受容体の結合能を測定する従来の方法を使用する。 薬品費、動物購入料、機器使用料に使用する予定である。
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