研究課題/領域番号 |
26462202
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
前澤 聡 名古屋大学, 脳とこころの研究センター, 講師 (90566960)
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研究分担者 |
藤井 正純 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10335036)
渡辺 宏久 名古屋大学, 脳とこころの研究センター, 教授 (10378177)
田邊 宏樹 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (20414021)
寳珠山 稔 名古屋大学, 脳とこころの研究センター, 教授 (30270482)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | てんかん / 脳腫瘍 / 皮質下ネットワーク / マッピング / 安静時機能的MRI |
研究実績の概要 |
脳神経外科領域において、安静時fMRI、DTI-トラクトグラフィ、MEGといった脳神経ネットワークに関わる最新のmodalityを使って得られる知見を組み合わせ、次世代の脳神経外科手術に貢献する解剖学的/機能連絡的情報を統合した術前コネクトームマップの開発が目的である。新たに脳波―機能的MRI同時記録装置(EEG-fMRI)を導入して、てんかん患者の焦点診断、ネットワーク解析を開始した。hub解析を含む安静時fMRIのネットワーク解析やMEGを組み合わせる事で、てんかんの焦点と伝播経路を非侵襲的に明らかにする事を試みている。本年度では安全性、脳波記録、アーチファクト除去、hub解析、ICAが可能である事が確認され、EEG-fMRIとhub解析を融合した焦点診断の可能性も観察された。脳腫瘍では覚醒下手術中のマッピングの所見からhodologicalな視点での機能温存を検討し、新しい言語ネットワークであるFrontal Aslant Tractの電気生理学的実証(Fujii M, Maesawa S, JNS 2015)や深部病変に対する新しいapproach(trans-subcentral gyral approach (Maesawa S, JNS, 2015)の発見を報告した。安静時ネットワーク解析によるDMN等の基盤的ネットワークの変化も調査した。脳腫瘍患者においてventral DMN、及び左ECNに有意なネットワークの低下が見られ、逆に右ECNでは増加が見られた。脳腫瘍グリオーマ患者において、脳内ネットワークの変化と高次機能の変化との関連を報告した。(Maesawa S, PLOS ONE,2015)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2014年度の初期計画の際の項目を列挙して検討する。①てんかん、脳腫瘍患者における安静時機能的MRI、MEG、EEG-fMRIのデータ収集:安静時機能的MRIについては本年度脳腫瘍で20名程度、てんかん患者で10名程度のデータを記録した。MEG、EEG-fMRIについてはてんかん患者(側頭葉てんかん、局在関連性てんかん)10名程度で記録した。データ収集は順調と判断。②データ解析:ネットワーク解析はICAによるdual regression analysisでdefault mode networkやeccective control network等に注目して解析している。また言語ネットワークについても解析。MEG、EEG-fMRIにおける焦点診断を検討中である。結果の一部を脳腫瘍患者における安静時ネットワーク解析(Maesawa S, PLOS ONE2015)として報告した。データ解析も概ね順調。成果も報告できている。③大規模健常者データとの比較:現在健常者コホートデータは250名程度収集されている。高齢者が多い為、てんかんや脳腫瘍患者データと年齢をマッチさせる為に更に収集を続行中である。④コネクトームマップの作成:開発中。やや遅れている。⑤手術結果との比較:覚醒下手術マッピング結果と比較。新しい言語性ネットワークであるFrontal Aslant Tractの電気生理学的実証(Fujii M, Maesawa S, JNS 2015)や新しいアプローチであるtrans-subcentral gyral approachの発見(Maesawa S, JNS2015)が成果としてあげられた。順調である。 以上よりおおむね順調と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
2015年度は前年度に引き続き、各項目で次に示す内容に留意しながら進めていく。①てんかん、脳腫瘍患者における安静時機能的MRI、MEG、EEG-fMRIのデータ収集:続行しデータ収集する②データ解析:てんかんにおけるネットワーク解析-ICAによるdual regression analysisでdefault mode networkやeccective control network等に注目して解析。hub解析実施。また言語ネットワークについても解析。脳腫瘍における術前言語ネットワーク画像を安静時ICAにて作成する。MEG、EEG-fMRIにおける焦点診断の確立③大規模健常者データとの比較:現在健常者コホートデータベースの作成。個々の症例のindependent analysis結果を健常人データと比較検討④コネクトームマップの作成:これらの情報を統合したマップを出力⑤手術結果との比較:覚醒下手術マッピング、てんかん手術、術後高次脳機能検査結果との比較検討。
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次年度使用額が生じた理由 |
2014年度は主に、データ解析をする為のワークステーションは脳とこころの研究センターの備品を使用する事が出来た為、物品費として次年度使用額が生じた。研究当初に掲げたワークステーションや出力の為の3-Dプリンタ等を今年度購入せず研究を遂行できた。しかし次年度以降に必要である。
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次年度使用額の使用計画 |
研究当初に掲げたワークステーションや出力の為の3-Dプリンタ等は、更に研究を進める為必要であり2015年度に購入する予定である。データ収集の為にMRI、MEG使用料、及び論文のカラーやopen accessに必要な金額が予想以上にかかっており、(2014年度ではその他の項目として607208円)2015年度も必要となる可能性が高い。従って物品費の一部はその補填に回す必要がある。
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