研究課題/領域番号 |
26462203
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
齋藤 洋一 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授(常勤) (20252661)
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研究分担者 |
吉岡 芳親 大阪大学, 学内共同利用施設等, 教授 (00174897)
清水 豪士 大阪大学, 医学部附属病院, その他 (10721102)
関野 正樹 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20401036)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | rTMS / 神経障害性疼痛 / 11.7T / 機能的結合 |
研究実績の概要 |
薬物での治療に難渋する神経障害性疼痛(NP)は電気刺激療法などの侵襲的な治療が行われることがあるが、全ての患者に奏功するわけではなく、反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)などの非侵襲的な治療の需要が高まっている。そこで本研究は11.7Tという高磁場のMRIを用いて、慢性疼痛モデルラットの詳細な画像解析をすることでその病態を究明し、rTMSの最適な刺激条件を同定することを目的としている。 平成26年度は慢性疼痛モデルラット作成の手技を習得し、再現性あるモデルを作成することに成功した。そのモデルラットにrTMSを施行するための麻酔や磁気刺激装置、筋電図の準備を整えた。 平成27年度は7Tの先行研究に基づいた麻酔や撮像パラメータに準じて、11.7TのMRIでの撮像に成功し画像解析を進めた。しかし血液脳関門を薬剤にて破綻させた状態で、高頻度または低頻度rTMSによるM1刺激の施行と同時にMn2+を投与し、脳賦活に伴って組織内に流入したMn2+の造影効果で賦活領域を観察する神経賦活磁気共鳴画像法(AIM MRI)による脳賦活部位の検討。およびディプリバン麻酔したラットに、マニトールを投与することで可逆的な血液脳関門の破綻を行い、MnCl2投与と同時にフォンフライフィラメント刺激によるアロジニアを起こした後、11.7TのMRIによる脳賦活部位の検討は十分に行えていない。 平成27年度に行う予定であった「脳賦活に伴って組織内に流入したMn2+の造影効果で賦活領域を観察する神経賦活磁気共鳴画像法(AIM MRI)による脳賦活部位の検討」の一部は、平成28年度にずれ込む。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
坐骨神経を絞扼した神経痛モデルを5匹作成することができた。また、高頻度rTMSによるM1刺激をする手法について確立することができた。さらに、アロジニアにて疼痛閾値の測定をすることも安定してできた。 これらのラットに対し麻酔下での11.7TのMRI撮像も達成し、構造画像の撮像パラメータの最適化も達成した。また機能画像を撮像した上で、ごく簡易な脳活動の解析を行うこともできた。しかし、高磁場であるためのディストーションが非常に強く、ある程度の改善ができたものの、解析において許容できる範囲に収めるには至らなかった。 よって平成27年度に行う予定であった「脳賦活に伴って組織内に流入したMn2+の造影効果で賦活領域を観察する神経賦活磁気共鳴画像法(AIM MRI)による脳賦活部位の検討」の一部は、平成28年度にずれ込むため、進行がやや遅れていると評価している。
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今後の研究の推進方策 |
予定通り、rTMSにより疼痛の閾値が変化するのかアロジニアで評価する予定である。評価に至適な坐骨神経絞扼後の時期は絞扼後2週間後と考えている。また11.7TのMRIで、機能的結合の解析に値する上質な脳機能画像撮像を目標にパラメータの検索を引き続き行っていく。 その後、脳賦活に伴って組織内に流入したMn2+の造影効果で賦活領域を観察する神経賦活磁気共鳴画像法(AIM MRI)による脳賦活部位の検討を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ラット用8の字コイルを近隣の研究グループとシェアしたことによる余剰研究費でラットを含めた研究消耗品の購入を行ったが、その際、業者との価格交渉により安価に入手することができた為、今年度も繰越が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は最終年度となる為、研究総括と研究成果報告発表の費用に充当したいと考えている。
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