脳慢性低灌流状態では認知症の発症やその他の神経障害の発症頻度が高くなる。この疾患に関する動物モデルは確立されているが、そのラットモデルの脳血流や代謝をin vivoで正確に評価することは行われていなかった。 脳慢性低灌流モデルとして、ラット両側頚動脈結紮モデルを作成。認知機能の変化、組織学的な神経細胞およびグリア細胞の変化、血管内皮細胞増殖因子の発現評価などを経時的に評価するとともに、O-15 PETを用いて脳血流、脳酸素代謝に関してin vivoでの詳細な評価を行った。 脳慢性血流障害や認知症においてSPECTは臨床的に重要な評価法である。近年SPECT/CT装置が導入されるようになり、CTを用いた画像再構成が可能になっている。我々は脳血流SPECTに関して、その解析精度をさらに向上させるためにはCTを用いた画像再構成法が有用であることを証明し、その結果を論文として報告した。 慢性脳低灌流状態においては血液脳関門、脳毛細血管の変化が生じており、これによって脳の組織学的、機能的な異常が生じる可能性がある。我々は、脂溶性SPECT製剤であるI-123 iomazenilを用いて、脳慢性低灌流状態にある患者のSPECTを施行し、脳血管の変化を反映する薬物動態パラメータに関する検討を定量的に行った。その結果、患者において変化が生じている薬物動態パラメータを明らかになったため、それに関するin vivo評価法を学会にて発表した。
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