研究課題/領域番号 |
26462207
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
貴島 晴彦 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10332743)
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研究分担者 |
押野 悟 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40403050)
谷 直樹 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任研究員 (20598370)
圓尾 知之 大阪大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (90533810)
クー ウイミン 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任研究員 (70591022)
枝川 光太朗 大阪大学, 医学部附属病院, その他 (40722806)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | てんかん / バイオマーカー / 炎症性サイトカイン / 髄液 / 血液 |
研究実績の概要 |
① 動物てんかんモデルでの研究。カイニン酸(10 mg/kg)を雌SDラットの腹腔内に投与することによりてんかんモデルを作成した。このモデルでは、投与後2時間後にはほぼ全例で痙攣を発症した。そのタイミングで、頭蓋骨をpaper thin に切削し、新たに作成した、ラット皮質脳波測定用電極で皮質脳波を測定したところ、てんかん性異常波を確認できた。このモデルを用いて、髄液、血液の収集を施行した。髄液採取については、腹腔に投与(ドミトール、ベトロファーム、ドルミカム)による麻酔下のもと、ラットの大槽から約100μlの髄液を採取した。モデル作成前、カイニン酸投与後6時間、2日後、1週間後に髄液ならびに、血液を採取し、これらの検体中のHMGB1の濃度をELISA法で測定した。その結果、2日後で髄液では上昇していた。血液中の濃度は特定の傾向を示さなかった。また、今回使用したELIZAキットではラットHMGB1の測定が可能であることが示された。 ②てんかん患者を対象とした研究。侵襲を有する前向き研究として、倫理委員会の承認を得た。てんかん発作前後での血液サンプル、ならびに髄液採取を施行する非てんかん患者から髄液ならびに血液サンプルを収集し測定を行った。てんかん患者以外の正常圧水頭症患者から得られた髄液を用いてHMGB1の濃度をELISAプレートで測定したところ、測定感度以下であった。てんかん患者の血液からのデータでは、軽度の発作では血漿中のHMGB1の上昇を認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標とするラットてんかんモデルは安定して作成できており、検体の収集が可能となっている。また、それらの検体でバイオマーカーの測定が可能となってる。現在順調にデータを蓄積しているところである。また倫理委員会の承認を得て、てんかん患者を対象とした研究も遂行できている。得られた検体を用いて、目標とするサイトカインの測定中である。
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今後の研究の推進方策 |
動物研究については、髄液、血液のHMGB1測定のサンプル数を増加させ、各個体間の差や経時的な変化を観察する予定である。それらのデータに基づき、その他の炎症性サイトカインの測定を行う予定である。また組織学的研究を免疫組織学的な手法を用いて行う。 てんかん患者からの検体についてもサンプル数を増加させ、個体間や発作症状、あるいは経時的な変化について、各種サイトカインを測定し検証する。侵襲的ではあるが、髄液採取によるHMGB1の測定を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
動物研究での施設使用費用が当初の見積もりよりも少なくすんだことにより差額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
29年度は当初の計画に加え、さらに測定検体数や種類を増やす予定である。ELISAキット、動物の購入維持の費用を29年度に繰り越した。
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