研究実績の概要 |
1.SCS(脊髄刺激療法)のための電極留置・電気刺激:全身麻酔下にFischer344ラットの頚椎(C1)の下半分とC2の椎弓切除を行い、脊髄硬膜表面を露出して、銀玉電極を硬膜表面に留置。SCS群に対しては引き続き、留置翌日より1日1時間のSCSを1週間継続。刺激条件については、刺激強度を運動誘発閾値の80%に設定した。また刺激周波数を2、25、50、100、200Hzの5種類とし、それぞれ2Hz-SCS群、25Hz-SCS群、50Hz-SCS群、100Hz-SCS群、200Hz-SCS群、とした。 2.てんかんモデルの作成:SCS群とコントロール群のラットの腹腔内にカイニン酸12mg/kgを投与することで投与数時間後から、てんかん発作が出現する。てんかん発作が遷延する場合には、動物愛護の観点からジアゼパムの投与により、鎮痙を図る。体重減少が認められる場合には、補液を行って体重維持に努める。 3.行動学的評価:てんかんモデル作成後にてんかん発作の重症度を判定。汎用されているRacine classificationをmodifyしたものを使用。 4.実験結果:コントロール群のseizure stageの平均は3.2であった。SCS群では2Hz-SCS群は1.6、25Hz-SCS群は3.0、25Hz-SCS群は3.4、100Hz-SCS群は2.2、200Hz-SCS群は1.9であった。統計学的解析を加えるとコントロール群と比較して2Hz-SCS群、100Hz-SCS群、200Hz-SCS群のそれぞれが有意差を持っててんかん重症度を抑える結果となった(p=0.0017, p=0.0496, p=0.0088)。一方で25Hz-SCS群、50 Hz-SCS群はコントロール群と比較して、てんかん重症度に有意差はなかった(p=0.6633, p=0.7649)。
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