ラット脊髄損傷モデルの慢性期に対し骨髄間葉系幹細胞(MSC)の経静脈的移植を行い、治療効果を検討した。T9高位の脊髄を圧挫し、重度脊髄損傷モデルを作製した。損傷10週後にMSCを経静脈的に移植した。後肢の麻痺は移植翌週から改善が見られ始め、対照群よりも有意な回復を得た。移植したMSCの数%が損傷部に集積した。血液脊髄関門の機能は、損傷後11週が経過していても不安定であったが、MSCの移植により速やかに安定し、このことが移植後早期の麻痺の回復に寄与していると考えられた。また、微小血管系の新生、損傷軸索の側枝形成、脱髄軸索の再有髄化などを認め、MSCの作用が多段階に生じていることを確認した。
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