研究課題/領域番号 |
26462215
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
村田 英俊 横浜市立大学, 医学部, 講師 (40398524)
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研究分担者 |
菅野 洋 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員准教授 (40244496)
川原 信隆 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60214673)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | myelopathy / spinal cord injury / G-CSF / compression model / cervical spondylosis / rat |
研究実績の概要 |
脊髄損傷の約6割は骨折・脱臼を伴わない脊髄損傷(非骨傷性脊髄損傷)である。最善の治療は未だに確立されていない。近年、急性脊髄損傷において顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)の効果が注目されている。一方で、私たちはラット慢性脊髄圧迫モデル(頸髄症モデル)を確立し、最近G-CSFにより遅発性脊髄症の発症を阻止できることを見いだした。「圧迫性脊髄症」と「頸椎外傷」の病態をあわせ持つ非骨傷性頸髄損傷に対しては、G-CSFが奏功する可能性が高い。まず非骨傷性頸髄損傷モデルに先立って、その基盤となる進行性慢性脊髄圧迫モデルにおいて、発症した脊髄症に対するG-CSFの治療効果を検討した。その結果、慢性脊髄圧迫モデルにおいて脊髄症が進行した場合(圧迫後8週目)でも、G-CSF投与により投与直後から運動機能の著明な改善がみられることが判明した。一時は非圧迫群に近いレベルまで改善した。最終的には投与後4週以降で徐々に運動機能は低下していくが、26週においてもコントロール群に比べて高い運動機能を維持した。また前角細胞数も高い残存数を維持した。急性脊髄損傷の治療としてG-CSFが注目を集めるなかで、私たちは慢性脊髄圧迫モデル(頸髄症モデル)においてもG-CSFが脊髄症に対して明らかな治療効果をもつことを明らかにした。この成果は国際誌SPINEにアクセプトされ、近く掲載されることとなった (Yoshizumi, Murata et al. SPINE 2016 vol41, in press)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
やや遅れている。 基盤となる慢性脊髄圧迫モデルにおいて、G-CSFの治療効果が明らかにでき、かつ国際誌での掲載 (SPINE 2016 vol41)予定となり、これまでの目標は達成できた。 2015年度後半期から非骨傷性頸髄損傷モデルを随時作成しているが、モデル作成率が低かったため、麻酔管理や頚部後屈のための器材を改良している。これが安定次第、G-CSF投与実験を開始する。また、同時に頻度の高い急性圧迫脊髄症への治療も視野にいれ、急性圧迫モデルも作成し、同様の実験を行う。
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今後の研究の推進方策 |
本年度(2016年)では、非骨傷性頚髄損傷モデルを作成し、非骨傷性頚髄損傷受傷後のG-CSFの治療効果の検討を行う予定である。同時に臨床上頻度が高く同損傷モデルと類似病態である急性圧迫脊髄症モデルを作成し、同様の実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
非骨傷性頸髄損傷モデルの作成率が高くなかったために、多数ラットを用いた本実験に入ることができず、次年度にラット代を含む使用額(繰越額)が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
これらの繰越額は非骨傷性頚髄損傷モデルおよび急性圧迫脊髄症モデル作成に使用する予定である(ラット購入、飼育、管理費を含む)。
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