研究課題
本研究の目的は術中にDBS電極より記録した局所フィールド電位(LFP)を解析して術後の至適刺激パラメーター設定に役立てることである。昨年度までにデータ収集を行ったのは23症例46側であり、それぞれ安静時および指タップによる運動負荷時に約1分間の記録を行った。収集したLFPデータを適宜解析ソフト(LabChart)を用いてオフラインで周波数解析を行った。その結果、多くの記録においても15-30Hzにピークを持つβ band activityの増加が観察された。当初の計画通り術後の至適パラメーターとの関係について比較検討を行ったが、症例毎にピーク周波数のばらつきが大きく、術後最終的な刺激設定における電極選択との有意な相関関係は得られなかった。データのばらつきの原因として、術中のDBSリードからの局所フィールド電位記録ではリードを挿入した途端に微小破壊効果により症状が改善することがしばしばあり、病態が修飾されている可能性があり、それにより症例毎のばらつきがみられたとも考えた。そこでこうした微小破壊効果による変化を排除するために、術中の細胞外電位記録測定のための微小電極記録時に同時に微小電極からLFPを記録して解析する方法に切り替えて記録システムを再構築した。こうして新たなシステムで14症例で記録を行った。記録は微小電極記録を行った範囲(視床下核腹側縁のターゲットより15mm上方から視床下核を超えて黒質に至るまで)で1mm毎に行った。その結果、視床下核のみならず記録を行った基底核の広い範囲でより安定したβ band activity(16.5±3.1 Hz)の増加が観察された。さらに筋固縮の誘発によりβ band activityのpeak powerの増加が観察され、パーキンソン病の病態に関わっていることが示された。現在術後の至適パラメーターとの関係についてさらに検討中である。
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