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2015 年度 実施状況報告書

MRI情報を活用した頭蓋内血流と髄液循環動態の流体力学的解析

研究課題

研究課題/領域番号 26462220
研究機関東海大学

研究代表者

松前 光紀  東海大学, 医学部, 教授 (20209604)

研究分担者 厚見 秀樹  東海大学, 医学部, 准教授 (30307269)
反町 隆俊  東海大学, 医学部, 准教授 (50534731)
黒田 輝  東海大学, 情報理工学部, 教授 (70205243)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード脳脊髄液 / 流体力学 / 画像診断 / MRI / 位相画像 / 画像解析 / 神経生理学 / 水頭症
研究実績の概要

健常ボランティア60名を対象として、MRI 4D Phase contrast法用いて髄液運動の情報を収集し、これを速度、回転、圧力勾配の要素に展開して検討した。その結果、基本的な髄液運動の物理的変量である速度の変化と回転および圧力勾配の変化は相関しており、これを解剖学的な構造に投影して表示することを可能とした。また各々の定量値を求め、髄液運動は第三脳室と脳幹部前方のくも膜下腔で激しく運動し、一方頭蓋円蓋部と側脳室の後方では弱く運動することが確認された。さらに比較的定常流を示し、解剖学的にその形態が大きく変化しない中脳水道で、年齢別の比較を行った。20歳から39歳まで、40歳から59歳まで、60歳以上の年齢群に分類し、3群間で圧力勾配の比較を行ったところ、中脳水道の圧力勾配は年齢を追うごとに増加したが、統計学的には有意差を見出せない緩やかな増加であることが判明した。
そこで特発性正常圧水頭症と健常者60歳以上で、中脳水道における圧力勾配の比較を行った。その結果中脳水道における圧力勾配は、特発性正常圧水頭症群は有意差を持って高齢者健常者群に対し増加していることが確認された。この結果は、加齢による脳組織のcompliance低下が原因と推察されるが、さらなる検討が必要であると考えられた。
今回我々が用いた解析方法は、頭蓋内における髄液運動を侵襲を加えることなく観測可能で、これを解剖学的位置情報に投影することも可能である。さらに、速度、回転、圧力勾配などの物理的変量を、定量値として得ることも可能で、その一例として年齢毎における変化や、特発性正常圧水頭症患者と高齢健常者の比較検討など具体例を示し、研究手法の有用性を示した。
次年度は、さらに症例を積み上げ髄液の動態に関する解明を進める方針である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

MRI 4D Phase contrast法を用いた髄液運動の解析により、髄液運動の可視化と定量化に成功した。この研究成果は、髄液の生理学を理解するために侵襲的でない方法により得られた結果であり、従来から考えられてきた概念を整理するために有効な手段である。
さらに加齢に伴う脳組織と髄液運動の変化や、健常者と特発性水頭症患者の分類など、臨床的に重要な病態を解明する手段として用いることが可能である。

今後の研究の推進方策

脳内各部位における、髄液運動の特徴を解明する必要があり、特に髄液の運動に迫るためには、心拍動を期限とする脳室内脈絡叢の拍動による髄液の運動、呼吸性変動を介した静脈圧の変動に関連した髄液の運動、血管系の拍動に関連した脳実質の容量変化による髄液の運動など、髄液運動の起源に迫る研究へと展開が必要である。さらに、高磁場MRIによる動物実験で、脳実質内におけるゆっくりした間質液の動きと、脳室やくも膜下腔におけるやや速い髄液の運動との関連を明らかとして、加齢変性に伴う代謝産物、代謝熱の放出などに関与する髄液の生理学的意義について研究を展開する。

次年度使用額が生じた理由

研究消耗品の購入にあたり経費節減に努めたため

次年度使用額の使用計画

研究の最終年度に当たり、論文の発表本数を増加させる計画である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Quantitative analysis of cerebrospinal fluid pressure gradients in healthy volunteers and patients with normal pressure hydrocephalus.2015

    • 著者名/発表者名
      Hayashi N, Matsumae M, Yatsushiro S, Hirayama A, Abdullah A, Kuroda K
    • 雑誌名

      Neurol Med Chirur(Tokyo)

      巻: 55 ページ: 657-662

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Visualization of pulsatile CSF motion around membrane-like structures with both 4D velocity mapping and time-slip technique.2015

    • 著者名/発表者名
      Hirayama A, Matsumae M, Yatsushiro S, Abdulla A, Atsumi H, Kuroda K
    • 雑誌名

      Magn Reson Med Sci

      巻: 14 ページ: 263-273

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Response. Regarding Bering's hypothesis on choroid plexus pulsatility.2015

    • 著者名/発表者名
      Matsumae M
    • 雑誌名

      J Neurosurg

      巻: 122 ページ: 480-481

    • オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 四次元速度画像に基づく髄液動態イメージングの臨床応用の現状と展望2015

    • 著者名/発表者名
      松前光紀, 厚見秀樹, 平山晃大, 林直一, 八ツ代諭, 梶原直, 船登美岬, 黒田輝
    • 雑誌名

      INNERVISION

      巻: 30 ページ: 19-21

  • [学会発表] MRI 4D Phase contrast 法により髄液運動の解析2016

    • 著者名/発表者名
      滝沢 賢
    • 学会等名
      第17回日本正常圧水頭症学会
    • 発表場所
      山形テルサ (山形県・山形市)
    • 年月日
      2016-03-19 – 2016-03-20

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公開日: 2017-01-06  

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