研究課題/領域番号 |
26462226
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
船越 忠直 北海道大学, 大学病院, 講師 (10528334)
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研究分担者 |
東藤 正浩 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10314402)
岩崎 倫政 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30322803)
小野寺 智洋 北海道大学, 大学病院, 講師 (70547174)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 関節軟骨 |
研究実績の概要 |
変形性関節症に対する治療は保存加療から手術加療まで様々である。保存加療は、主にリハビリテーションや、関節機能訓練などの力学的環境を変化させること、もしくは関節内注射による生理学的環境を変化させることが中心となる。現在使用されている薬物は日本国内においてはヒアルロン酸が中心であるが、適切な分子量に関しては未だ不明な点が多い。 本研究は軟骨損傷に対するヒアルロン酸の分子量による効果の違いを検討するために、初年度においては最適な動物実験プロトコールの作成を行った。この結果、日本白色家兎の片膝に対する前十字靭帯および内側側副靭帯損傷モデルが最も適切であることを示した。また、注射回数としては様々なプロトコールを検討した結果、初回手術後5週より3回(週1回)0.3mLの注射を行うことが適切であることを確認した。 今年度は、日本白色家兎を以下の3群に分け、組織学的、免疫組織学的検討を行った。コントロールとして生理食塩水群、低分子量ヒアルロン酸群、高分子量ヒアルロン酸群の3群である。生理食塩水群は肉眼所見および組織学的所見において、高度な関節症性変化を引き起こしていた。一方低分子量ヒアルロン酸群、高分子量ヒアルロン酸群ともにコントロールに比べ肉眼所見および組織学的所見において関節症変化は抑制されていた。 今後は、軟骨損傷予防における客観的な評価方法として、摩擦力測定法の確立および関節内粘弾性試験、さらに画像評価方法の確立が必要であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の目標は、前年度に確認したプロトコールの実施であり、ほぼプロトコールに準じた研究が可能であった。感染などの合併症はなかったが、組織切片を作成する際の技術的な問題のため、検討できない症例が存在した。本研究では低分子および高分子ヒアルロン酸群の膝関節軟骨に対する評価として肉眼的、組織学的、免疫組織学的検討も概ね終了し、従来の解析法に基づいた評価が可能であった。 さらに、画像評価方法として軟骨下骨骨密度を計測することにより加わる応力を推測できる理論に基づき評価する方法、CT osteoabsorbsiometry法の確立とプログラムの開発を同時に行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後は生体力学的検討の実験系の開発と実施が必要である。関節軟骨は表面の摩擦係数が非常に少ないことが知られており、今回は特殊にdeviceを開発することで、in vivoに近い状況での膝関節摩擦を計測することを目的としている。さらに関節内滑液中に投与されたヒアルロン酸の経時的変化を確認する必要がある。ヒアルロン酸は巨大分子であり、この評価法は従来の方法では非常に困難であることが予想される。現在、分子量を推測できる評価方法を検討中である。同時に軟骨の画像評価としてCTOAM法のプログラムを開発する。
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