研究課題/領域番号 |
26462228
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
折田 純久 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (60638310)
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研究分担者 |
高橋 和久 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20179477)
山内 かづ代 千葉大学, 医学部附属病院, 特任助教 (30648069)
大鳥 精司 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40361430)
久保田 剛 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (50725695)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 多血小板血漿 / 骨癒合 |
研究実績の概要 |
骨折や脊椎手術における骨癒合の研究は報告があるものの,臨床応用に至るまでには副作用や精製法など,克服困難な問題点が障壁となっていたことも事実である.この点について,自己の血液から精製抽出し作成可能であるPRPは,安全性が極めて高く有効性も高いことが予想される.そして自己由来であるがために極めて臨床の現場で応用しやすいと考えられ,HAを担体とすることで大きな骨欠損を伴う,もしくは難治性である骨折や慢性の関節疾患に対しても安全に応用できることが予想されるため,特に骨癒合の早期かつ確実な完成が非常に重要となる整形外科疾患一般において応用が可能である可能性がある.さらに,今後安全性を確立した上で他家血由来のfdPRP作成と保存・手術応用が可能であれば,製品化を含めて整形外科治療の分野により大きな成果をもたらすことが予想される.このように本研究の遂行により,骨癒合の促進という観点において安全性と有効性を両立しながら整形外科・脊椎外科分野の大きな発展への寄与するものと考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在,PRPの保存後の活性評価を含め,臨床応用を念頭に置いた研究に関しておおむね順調に推移していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
本研究は患者自身の血液由来のPRPを骨癒合促進に用いることができるという点で安全性に優れ,また作成も遠心分離手技が中心であるため簡便である.今後の普及については保存方法やより有効な方法の探索などが必要であるものと考えられる. 今後の臨床応用を念頭に置いた場合,健常者ボランティアから採取した血液から遠心分離にて作成したPRPを基に,フローサイトメトリーや免疫定量(ELISA法)等を用いて局所で使用した場合の安全性と有効性を精査する.具体的には作成直後や冷凍保存,および凍結乾燥保存後のPRPについて,保存状態による活性と有効性を調査する.具体的には腫瘍壊死因子(TNF: Tumor necrosis factor)やインターロイキン(IL)群など,炎症を惹起しうるサイトカインの濃度について調査し,これが周囲組織の炎症を惹起しうるかを検討する.さらに骨癒合促進関連の成長因子についても同様に調査することで,保存状態が骨癒合に及ぼしうる影響について調査する.また,フローサイトメトリーにても同様に保存状態によるPRPの活性を調査し,PRPの保存状態によってそれぞれの状態がどのように変化ないし維持されるかを確認する. また,動物実験における有用性についても調査する.ラットより採取した血液を基に作成したPRPをラット腰椎後方固定モデルにおいて後側方に充填された局所骨に添加し,施術後2,4,8,12週にてレントゲン写真を撮影しながら骨癒合の状態を確認する.最終撮影後にPRPを添加した脊柱を摘出,これをHE染色を中心とした染色にて観察し,実際の骨梁形成・癒合状態を確認する.
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次年度使用額が生じた理由 |
凍結乾燥機など高額器械の購入が,医局費など他予算でなされたため
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次年度使用額の使用計画 |
清潔環境での凍結乾燥環境整備,フード整備などに使用予定
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