研究課題
【目的】新鮮多血小板血漿(platelet rich plasma:PRP)は組織修復や骨癒合に有効であるが,手術で用いる場合成長因子半減期の短さから,術直前に一定量の採血が必須であり,患者侵襲や手間が問題となっている.そこで,我々は凍結乾燥保存に注目し,先行実験において8週間保存した検体中に成長因子が維持されていることを確認した.しかし,凍結乾燥PRPの実際の骨癒合促進効果に関しては現段階で実証されていない.今回,その骨癒合促進効果および骨強度増強効果をラット脊椎固定術モデルで評価することを目的とした.【方法】8週齢の雄性SDラットを使用(n=60).脊椎固定術モデルは, L4-6椎弓両側を展開し各移植材料を横突起間に移植した.各移植材料で群分けし,sham群,自家骨群,人工骨のみ群,人工骨+新鮮PRP群,人工骨+凍結乾燥PRP群,人工骨+BMP群(Bone Morphogenetic Protein)とした.骨癒合は術後4週,8週において単純X線で評価し,また,術後8週で骨移植部椎体を摘出し,HE染色での組織学的評価(骨形成量,骨梁構造)に加え,3点曲げ法で力学的評価を施行した.【結果・考察】術後4週で人工骨単独群に比べ凍結乾燥PRP群で高確率に骨癒合所見がみられた.また,8週での骨形成量も有意に多い結果であった.リモデリング部骨梁の特徴は,自家骨群で太く分岐が少なく,凍結乾燥PRP群で,細く分岐が多い網目状であった.凍結乾燥PRP群の骨強度(112.0±15.6N)は人工骨単独群(103.7±30.1N)と比べ有意に強く(p<0.05),自家骨群(116.7±10N)と有意差はなかった.【結論】凍結乾燥PRPは新鮮PRPや欧米で使用されるBMPと同等の効果があることが示唆された.凍結乾燥PRPは骨癒合促進効果を有する保存可能な生体材料として臨床応用が期待される.
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Asian Spine Journal
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Scientific Reports
巻: 6 ページ: 36715
10.1038/srep36715
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