研究課題/領域番号 |
26462237
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
今釜 史郎 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (40467288)
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研究分担者 |
伊藤 全哉 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (50447819)
安藤 圭 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (40566973)
伊藤 研悠 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (10732638)
石川 喜資 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (30732656)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ケラタン硫酸 / ケラタナーゼ / 脊髄損傷 / 運動機能回復効果 |
研究実績の概要 |
当初の予定通りラット脊髄圧挫損傷モデルを作成し、ケラタン硫酸分解酵素を投与した。IHインパクター使用と200kdynの圧挫設定により、圧挫後は完全麻痺の脊髄損傷を惹起し安定した脊髄損傷モデルを作成できることが確認された。酵素を投与した治療群と、生理食塩水を投与したcontrol群で、脊髄損傷後の生存に差はなく、治療群で明らかな副作用を認めなかった。 治療群とcontrol群の脊髄損傷後下肢運動機能回復をBBBスコアを用いて測定すると、治療群ではcontrol群に対し有意に良好な回復を示した(治療群のBBBスコア平均8.5、control群は平均4.5)。Von frey filamentを用いた知覚試験と圧、熱感覚試験では治療群でアロデニア症状を認めないことが確認され、知覚の回復も良好であった。 電気生理学的検査では、経頭蓋刺激で下肢腓腹筋のモニタリングを行った(MEP)。MEPにおける振幅の評価では、治療群で有意に振幅の回復を得ており、前述の脊髄損傷後下肢運動機能回復を裏付ける結果であった。SpSCEPは感覚系神経回復を確認可能な脊髄モニタリング検査であるが、SpSCEPでも治療群で有意な潜時の回復を得た。 免疫組織染色では神経系染色として、Gap43、5-HT染色にて、治療群で有意に多いpositive fiberを認めた。またCollagen IVで染色した脊髄損傷部の瘢痕面積は、治療群で有意に小さかった。以上より、治療群では軸索再生を抑制する瘢痕形成が有意に小さく、神経fiberが有意に多く、脊髄損傷後の運動機能、知覚ともcontrolに比べ有意に良好な回復を示すことが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、ラット脊髄損傷モデルの確立、治療群での副作用確認、治療群とcontrol群での運動機能、知覚の比較、電気生理学検査、免疫組織学的検討などが達成され、現在ケラタン硫酸のmolcule分析を行っており、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きプロテオグリカンのコアタンパクなど分子生物学的検討を行う。さらに今後は当初の計画通り、トレーサーによる軸索再生の評価や細胞移植併用との比較検討を行う。現在のところ、特に克服すべき問題や課題はない。
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次年度使用額が生じた理由 |
脊髄損傷モデル作成実験用動物・試薬の購入を予定していたが、研究分担者との実験計画の検討に時間を要したため、実施時期がずれ込み次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度に購入を予定していた、実験用試薬の購入に充てる。また、本研究に関する情報収集および研究成果の報告のための学会出席費用に充てる。
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