研究課題/領域番号 |
26462246
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
鈴木 亨暢 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 病院講師 (00445016)
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研究分担者 |
寺井 秀富 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (20382046)
中村 博亮 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (60227931)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | iPS細胞 / ヒト人工多能性幹細胞 / BMP遺伝子 / 骨形成タンパク / HSV-TK遺伝子 / 単純ヘルペスウイルス1型チミジンキナーゼ / 低侵襲脊椎固定術 |
研究実績の概要 |
超高齢社会の到来により、脊椎手術は近年増加の一途を辿っているが、患者の早期社会復帰や医療費の削減に向け手術の低侵襲化が重要である。また、ヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)はさまざまな組織の細胞に分化する能力を有し患者本人の細胞から樹立可能である特徴を持ち、再生医療や移植治療への応用が期待され臨床治験が始まろうとしている。しかし、iPS細胞の骨再生への応用の研究は世界的にみても報告が非常に少なく、iPS細胞の臨床への応用を進めているにあたり重要な課題と考える。 当研究は、骨形成タンパク-2 (Bone Morphogenetic Protein-2; BMP-2)、及び、単純ヘルペスウイルス1型チミジンキナーゼ(HSV-TK)発現プラスミドベクターを導入したiPS細胞を作製し、同細胞の骨形成能、及び、ガンシクロビルの添加により発現ベクター導入細胞の細胞死を確認した後に、ラットを用いて細胞注射による脊椎固定術の検証を行うことを主目的とし、平成26年度より開始されている研究である。 平成27年度の進捗状況としては、BMP-2遺伝子とHSV-TK遺伝子をIRESでつなぎ生合成開始に必要な遺伝配列を組み込んだプラスミドを作成し、GFP遺伝子を持つベクターにクローニングした。PromoterとしてはEF-1αを用いている。作成したベクターをマウス横紋筋由来細胞(C2C12細胞)にLipofection法を用いてトランスフェクションし、GFP陽性細胞を評価し導入率評価、BMP-2機能評価としてALP活性評価、HSV-TK評価としてガンシクロビル(GCV)との共培養による細胞数評価を行った。その結果、コントロールと比較した際のALP活性の上昇、GCVとの共培養での細胞数の有意な減少を認め、作成したプラスミドが両タンパク質を産生し機能していることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度は当施設で研究を開始するに当たって必要な種々の手続きにより時間を要したが、平成27年度は遺伝子の作成と産生されたタンパク機能評価までを完了しており概ね順調な進展と考えられる。BMP2の蛋白発現量に関して現在確認作業中であるが、発現量が少ない場合にはベクターの変更などを考える必要もあり遅れる可能性がある。また現段階ではC2C12での確認にとどまっておりiPS細胞での検討が出来ていないためやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
現在はBMP-2の機能評価としてALP活性評価を行っているが、併せてBMP-2タンパクのELISAを行い定量評価を行う。十分なBMP-2の産生が確認されれば、in vivoでの評価としてC2C12細胞に作成したプラスミドをトランスフェクションにて導入し無胸腺ラットの横突起間に細胞を注射、4週間、8週間の時点で犠牲死させ単純X線にて骨新生の状態を確認する。さらに注射部分の脊椎を摘出しmicro CTを用いて新生骨の骨質評価を行う。その後組織標本を作成し、組織学的に新生骨を確認した上で注入細胞生存の有無や骨新生への寄与の割合などをμCTを用いて評価する。また、同時並行でiPS細胞への導入を行うため、適切なラインの選定とiPS細胞継代の手技習得を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は作成したプラスミドの機能評価までを予定していたが、プラスミドの作成に時間を要したため、ELISAによるBMP-2の産生の定性評価が未施行である。上記に充てる予定であった予算を次年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
ベクター導入によるBMP2蛋白発現量を測定する目的で、BMP-2 ELISA kitを購入するために使用する予定である。
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