研究課題/領域番号 |
26462247
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
岡田 充弘 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40309571)
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研究分担者 |
上村 卓也 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10597321)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 末梢神経絞扼性障害 / 神経組織線維化 / 近赤外蛍光画像装置 / 神経内血流評価 / 微小血流評価 / 蛍光輝度解析 |
研究実績の概要 |
本研究は、末梢神経絞扼性障害における神経除圧範囲について、客観的な評価方法を確立することが目的である。末梢神経絞扼性障害重症例では、神経絞扼部位を中心に、神経上膜・周膜の線維化が起こるとともに、神経束内・外の血流循環障害が起こることが知られている。これまで末梢神経絞扼性障害の手術で、末梢神経自体への除圧の必要性を説く治療法はほとんどなかった。しかし、神経上膜・周膜の線維化による神経への圧迫を解除しなければ、神経組織自体の絞扼が残存することになり、治療成績が不良となっている可能性が考えられる。これまで神経組織自体による神経の絞扼に対する治療が注目されなかった理由の一つに、神経組織自体の絞扼を客観的に評価する方法がなかったことが考えられる。 近年、近赤外蛍光画像装置を用いた血流評価が、脳神経外科や形成外科で行われている。神経組織の線維化が起これば、神経が圧迫され神経内の血流循環障害が発生している。我々は神経内の血流に注目し、神経組織自体による神経の絞扼を、神経内の血流で評価しようと試みている。先行研究で、我々は近赤外蛍光画像装置を用いて、神経内の微小血流の描出に成功した。しかし、近赤外蛍光画像装置自体の性能が不十分なため、描出された画像の解像度が不十分であった。本研究では、近赤外蛍光画像装置を内蔵した手術用顕微鏡を用い、神経内の微小血流の評価を行っている。 平成26年度は、近赤外蛍光画像装置を内蔵した手術用顕微鏡を用いることで、高解像度の画像を得ることができた。更に、手術用の顕微鏡は接写可能であり、微小な血流の変化をリアルタイムに観察することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
旧型の近赤外蛍光画像装置では、大きな血管の血流を描出するには問題はない。先行研究で、近赤外蛍光画像装置を用いることで、神経内の血流を描出できることを実証したが、その画像の解像度は不鮮明であった。本研究で対象としている末梢神経内の血流のような微小な血流を描出するには、これまでの近赤外蛍光画像装置の性能では不十分であることが判明した。 近年医療機器の進歩に伴い、近赤外蛍光画像装置を内蔵した手術用顕微鏡が開発された。手術用顕微鏡は、対象物に接写することができ、鮮明かつ高解度の画像を得ることができる。 交付申請書に記載した平成26年度の目標である「近赤外蛍光画像装置を内蔵した手術用顕微鏡を用い画像の精度を上げ、評価を行う。」については、近赤外蛍光画像装置を内蔵した手術用顕微鏡を用いることで、末梢神経内の微小血流の描出を高解像度で描出できることがわかった。従って、本研究はおおむね順調にすすんでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現時点で、おおむね研究は順調に進んでいる。今後は、引き続き対象の総数を増やす方針である。総数を増やすことで、統計学的に、本法の有用性を示したいと考えている。 同時に、本研究の血流評価法は全く新しいものであり、近赤外蛍光画像装置を用いた蛍光輝度測定が血流評価の方法として妥当であることも評価する。輝度測定には、専用のsoftwareを用いて蛍光輝度の定量評価を行なう。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた総数に達しなかったため、交付申請書に記載した金額と差が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度も引き続き対象の総数を増加させる予定であり、計画書通りに使用薬剤等に使用する予定である。
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