研究課題/領域番号 |
26462251
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
渡邉 航太 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60317170)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 腰部脊柱管狭窄症 / 糖尿病 / ソルビトール / アルドース還元酵素阻害薬 / 黄色靭帯 |
研究実績の概要 |
糖尿病患者に合併した腰部脊柱管狭窄症例における肥厚した黄色靭帯にソルビトールが沈着する病態の解明を試みた。さらにin vitroにおいてアルドース還元酵素阻害薬が繊維芽細胞内のソルビトールの沈着を軽減できるかどうかについても検討を行った。 その結果、ソルビトール量は糖尿病を伴った群において、糖尿病を伴わない群より有意に増加していた。黄色靭帯の厚さは糖尿病群で5.6㎜、コントロール群で3.92㎜と糖尿病群で有意に飛行していた。さらに、高濃度のグルコース下でNIH3T3細胞を培養すると、ソルビトールの蓄積量は1.68ml/L、一方、コントロールでは0.83mg/Lであった。そこに、アルドース還元酵素阻害薬を投与すると、細胞内へ沈着するソルビトール量は有意に軽減された。さらに、NIH3T3細胞の増殖は高血糖下で増強されていた。炎症性サイトカインであるTGF-βは高血糖下で発現が上昇していたが、アルドース還元酵素阻害薬の投与によって、TGF-βの発現は軽減しなかった。 本研究の結果は、糖尿病を伴った腰部脊柱管狭窄症は通常の狭窄症とは別の病態が存在することを示唆している。さらに、アルドース還元酵素を用いた腰部脊柱管狭窄症の予防方法に発展する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、英文投稿を行い、そのreviseを提出した状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今後、糖尿病動物を使用したアルドース還元酵素阻害薬の効果、ソルビトールの沈着から炎症の惹起、そして黄色靭帯肥厚、腰部脊柱管狭窄症発症までの詳細な病態の解明を行う予定。
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次年度使用額が生じた理由 |
すでに保持している試薬、資材を用いたため、予定していた予算より使用金額が少なくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は、試薬、資材、器材等の購入が必要。また本研究結果を、学会で発表も行う予定であるため、予定通りの資金の使用となる見込みである。
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