研究課題
1.糖尿病を合併した腰部脊柱管狭窄症患者、および糖尿病を合併していな腰部脊柱管狭窄症患者手術例における黄色靭帯内のソルビトール濃度を計測した。その結果、黄色靭帯内のソルビトールの量は糖尿病群で1.68 ± 0.56 mg/L 、非糖尿病群で0.42 ± 0.69 mg/L であり、有意差に糖尿病群でソルビトールが沈着していた。NIH 3T3 (Mouse embryonic fibroblast cell line)を通常のグルコース濃度(1000 mg/l)、高グルコース高濃度(5400 mg/l)で48時間の培養を行った。その結果NIH3T3細胞はグルコースの濃度依存性に増殖した。すなわち、高濃度グルコース濃度で培養した細胞の方が、通常のグルコース濃度と比較して良好に細胞が増殖した。さらに細胞サイクルもグルコース濃度によって異なっていた。さらに、細胞内のソルビトール含有量は高グルコース濃度で1.68±0.37 mg/L 、一方、通常濃度では0.83±0.28 mg/L であった。さらに、このソルビトール量はaldose reductase inhibitor (ARI) 0.1uMの添加により、1.12±0.29 mg/L (P<0.01) に有意に減少した。さらに、1.0 uM では0.84±0.11 mg/L に減少した。本研究結果はIncreased Sorbitol Levels in the Hypertrophic Ligamentumflavum of Diabetic Patients With Lumbar Spinal Canal StenosisのタイトルでJ Orthop Res. 2016 May 21(e-pub)に掲載された。また、基礎的研究では圧迫因子としての黄色靭帯の肥厚、そして将来的には被圧迫組織である末梢神経の両面から検討を行い,更なる病態の解明と新たな治療薬の開発などの可能性が考えられ、臨床へのフィードバックが期待できる研究であると考える。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)
Journal of Orthopedic Research
巻: epub ページ: epub
10.1002/jor.23302