腰痛患者における医療費は膨大であり、腰痛に伴うADL障害は社会問題となっている。これまで炎症性サイトカインによる椎間板変性のメカニズムが報告されていたが、今回の解析からTNF-α-PGE2/EP受容体を介したpathwayがWntシグナルを活性化させ、椎間板細胞分化を誘導した可能性が示唆された。これらのシグナルは炎症誘導に関与する重要な転写シグナルであり、椎間板細胞におけるWntシグナルの分子スイッチとして働く可能性が考えられた。今後はTNFα-PGE2シグナルによるWntシグナルの活性化をレセプター部位で抑制できれば、椎間板変性における新たな分子標的治療薬に繋がる可能性が考えられた。
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