研究課題/領域番号 |
26462254
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
中村 英一郎 産業医科大学, 医学部, 准教授 (10412644)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 椎間板変性 / Cre / hedgehog |
研究実績の概要 |
加齢に伴って椎間板は変性する。椎間板変性は腰痛や脊柱管狭窄、脊柱変形など高齢者の脊椎疾患の主な原因になると考えられている。しかし、椎体と椎間板の形成さらには変性過程について、どのような因子が関与しているのか未解明な部分が多い。本研究の目的は、髄核に発現するSonic hedgehog(Shh)と椎体終板に発現するIndian hedgehog (Ihh)、ならびに双方のHedgehogのシグナル伝達に関与する膜蛋白のSmoothened (Smo)の時間特異的、組織特異的なノックアウトマウスを作成し椎間板の形成、変性過程でIhh、Shh、Smoを欠失させそれらがどのように機能するのか明らかにすることである。 H26年度は、、Smoの時間特異的KOマウスの作成のため、すべての細胞に発現するプロモーターをもったROSA/Cre-ERTマウス(homo)とSmo-loxPマウス(homo)を交配し、双方のアレルを持ったマウスを得た。また、軟骨特異的KOマウスを作成するためcol.II/Cre-ER(T)マウスを用いてSmo-loxPマウスと交配し双方のアレルを持ったマウスを得た。また、Tamoxifen投与によってCre-ER(T)-LoxPシステムが正常に稼動する事を確認するため、ROSA/LacZレポーターマウスを用いて、col.II/Cre-ERTマウス、ROSA/Cre-ERTマウスと交配し、Tamoxifen投与後に椎間板や髄核、椎体終板などへのLacZの染色性を確認中である。 また、マウスにおける椎間板変性を促進するモデルを作成するため(椎間板変性促進モデル)、Wtマウスを用いて、麻酔下に椎間板穿刺を施行するモデルと脊椎の後方要素である棘突起、棘間靭帯を切除し、さらに片側の椎間関節を切除して腰椎の不安定性を惹起するモデルを作成し椎間板の変性過程を観察している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コンディショナルKOマウスの作成は順調である。椎間板組織においてCre-LoxPシステムが確実に作動するためのタモキシフェンの投与タイミングを調整中である。また、椎間板変性モデルを現在作成中であり、マウスで椎間板の変性の程度を安定化させることに工夫を要している。
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今後の研究の推進方策 |
Wtマウスでの安定した椎間板変性モデルを構築後、まずはSmoのCKOマウスで軟骨特異的にhedgehogシグナルをKOした場合と、全細胞でKOした場合での椎間板組織の構造変化や椎間板変性の程度の相違について検討する。また、タモキシフェンの投与時期を変えてKOのタイミングをいくつか設定することで椎間板組織の構造変化や椎間板変性の程度などを検討する。また、Shh-CreER(T2)を用いて髄核のみでHedgehogシグナルをCKOした場合もあわせて比較検討する。
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