研究実績の概要 |
本研究は、シンデカン‐4に着目し、関節軟骨修復メカニズムの更なる解明を目指す。本研究では、①シンデカン‐4遺伝子の欠損はSDF-1の機能に影響を与え、②シンデカン‐4の発現を調整することでSDF-1の機能を修飾して軟骨修復が促進される。という2つの仮説を検証する。 まず第一段階として、平成26年度はC57BL/6マウス骨軟骨損傷モデルの開発と、その組織学的・分子生物学的評価を行った。生後3週、4週、8週齢のマウスに対して、膝関節を展開し、大腿骨滑車部に27G 針を用いて直径約150μm、深さ60μmの骨軟骨損傷を作製する骨軟骨欠損を作製し、その修復過程を調査した。まずは、組織学的検討結果から、骨軟骨損傷作製直後の組織学的検討において作製された骨軟骨欠損は充分な再現性が得られることを確認した。次いで、各週齢におけるマウス骨軟骨欠損の修復過程を組織学的に比較・検討したところ、生後3週・4週マウスにおいては良好な骨軟骨修復が得られる一方で、生後8週齢では不十分な軟骨修復であった。これらの研究成果は既に海外論文としてacceptされている(Matsuoka M, Onodera T et al., Tissue Eng Part C Methods. 2015, In press)。 今後は昨年度得られた結果を基に、術後3・4週齢マウスを用いて、シンデカン‐4遺伝子の欠損マウスの骨軟骨損傷修復過程におけるフェノタイプの確認作業を行う予定である。
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