研究実績の概要 |
本研究の目的は、プロテオグリカンの一つであるシンデカン4に着目し、関節軟骨修復メカニズムの解明を目指すことである。第1段階として、C57BL/6マウスの骨軟骨損傷モデルを確立し、その研究成果は海外論文に掲載された(Matsuoka M, Onodera T et al., Tissue Eng Part C Methods. 2015) 確立された骨軟骨修復モデルを用いてシンデカン4遺伝子欠損マウスの軟骨修復過程を詳細に検討したところ、シンデカン4ノックアウトマウスは、野生型マウスと比べて良好な組織修復が認められた。この結果は骨折治癒や皮膚損傷とは異なり、それらの組織とは異なるメカニズムによる可能性が考えられた。フェノタイプの解析のため、SDF-1に対する細胞遊走能試験を施行したところ、シンデカン4KOマウス由来細胞ではSDF-1による細胞遊走能の亢進を認めなかった。今後はシンデカン4ノックアウトマウスがどのようなメカニズムで良好な軟骨修復を獲得するのかのメカニズムの解析を行う予定である. また、本プロジェクトで開発した骨軟骨損傷モデルを用いた骨軟骨修復過程の病態解析として、ガングリオシド欠損マウスを用いた解析を行い、その成果が海外論文に掲載された(Matsuoka M, Onodera T et al., Sci Rep. 2017)これらの業績は今回開発した新たなモデルの妥当性ならびに有用性を国際的に示すものである。
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