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2014 年度 実施状況報告書

材料表面マイクロ形状による骨関連細胞の分化と機能の制御

研究課題

研究課題/領域番号 26462263
研究機関大阪大学

研究代表者

名井 陽  大阪大学, 医学部附属病院, 准教授 (10263261)

研究分担者 岡本 美奈  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50457008)
吉川 秀樹  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60191558)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードバイオマテリアル / 微細加工技術 / 骨分化
研究実績の概要

本年度は主に、微細加工技術(プラズマエッチング)を用いた足場材料となる細胞培養容器の作成を目標とした。足場材料の構造の違いにおける細胞の挙動を調べるため、凹凸の培養表面構造(micropillar及びmicropore)を設計し、大阪大学工学部にポリスチレンプレートの作成を依頼した。μm単位の微細な構造設計であり、pillar構造の高さの決定には、プレスする圧力と表面温度、冷却法などの条件を変化させて最適値を見つける必要があり、一様な深さ分布や孔構造を作成するための条件検討を行っている。
足場材料の作成とともに、プラズマエッチング法で等間隔にφ1.5μm、h 2μmのpillar(凸型)加工したquartzと未加工のquartzを用いて、骨芽細胞の増殖、分化について検討した。ST2細胞(マウス骨髄由来ストローマ細胞)を用いた細胞増殖能実験では、pillar構造では平面構造と比較して、増殖能が低下することが明らかになった。
また、生体骨組織では骨芽細胞を介して破骨細胞が誘導される仕組みに着目し、骨芽細胞による破骨細胞形成誘導因子の遺伝子発現量を調べた。ST2細胞をビタミンD3存在下で培養すると誘導される、破骨細胞形成誘導因子Ranklとその囮受容体Opgの遺伝子発現をReal Time PCR法で解析した結果、pillar構造ではRankl/Opgの発現は有意に低下していた。
さらに、破骨細胞の形成についても検討した。pillar構造と平面構造においてマウス脾細胞及び骨髄からM-csf / Ranklを用いて破骨細胞の単培養を行った結果、両構造において、活性化した破骨細胞に特徴的なアクチンリングは形成されたものの、大きさや形態に相違を認めた。先の予備検討において、足場材料の凹凸構造により、骨芽細胞の分化に影響を認めたことから、足場材料の微細構造が骨関連細胞の挙動や因子の発現に影響を与えると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

微細加工技術を用いた足場材料の作成に要する時間は想定済みである。足場材料の作成と並行して、同様の微細構造をもつquartzを用いて、骨芽細胞の増殖、分化及び破骨細胞の形成について検討を行なった。設計した微細構造をもつ足場材料が作成出来次第、同様の検討を行う事ができるため、おおむね順調に進展していると評価できる。

今後の研究の推進方策

これまで、骨芽細胞を用いた培養表面構造影響の検討がごく一部で行われているものの、破骨細胞の培養系を用いた検討の報告はない。そこで、微細構造上で単培養や共存培養により誘導した破骨細胞の分化マーカーの遺伝子、タンパク質の発現解析を行い、細胞形態についてもレーザー共焦点顕微鏡や走査型電子顕微鏡を用いて検討する。さらに、破微細構造における破骨細胞の機能の変化に寄与する転写因子の同定を試みる。
また、pillar構造上ではST2細胞における破骨細胞形成調節因子(Rankl/Opg)の遺伝子発現が低下していたことから、ST2におけるRankl発現の細胞内シグナル伝達経路についてRNA、タンパクレベルでの解析を行う。
細胞の種類や大きさによって機能維持に最適な足場環境が存在すると考えられる。このため、pillarやpore等凹凸の形状に加え、間隔、高さ、幅等微細構造の配列パターンやサイズの異なる足場材料を用意し、骨関連細胞の分化に適した足場条件を明らかにしたい。

次年度使用額が生じた理由

前年度は主に微細加工技術による足場材料の作製を行なった。細胞を用いた検討は一部、次年度に行う予定であり、当初の使用予定額と多少の相違が生じた。

次年度使用額の使用計画

次年度は主に、作製した足場材料を用いて細胞培養を行ない、RNAやタンパクレベルでの検討を行う予定である。当該検討に必要な培養、分子生物学及び生化学関連試薬等の必横な消耗品は次年度に使用予定である。

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公開日: 2016-05-27  

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