研究実績の概要 |
1. quartz及びpolystyrene培養皿を用いた細胞培養実験 活性化され、骨吸収状態におかれた破骨細胞が形成するとされるアクチンリングの形成について調べるため、quarts(平面構造,pillar構造)とpolystyrene培養皿上でマウス脾細胞および骨髄マクロファージから培養破骨細胞の誘導を行った。その結果、ポリスチレン培養皿や平面構造を有するquartz上で培養した破骨細胞と比較し、pillar 構造上で誘導された破骨細胞は、大きさは小さいものの、アクチンリングが形成されることを確認した。 2. 微細加工技術を用いて作成した培養皿での細胞培養実験 プラズマエッチングを用いた微細加工技術を用い、polystyrene培養皿の作成を行った。当初予定した手法ではpillar/poreの凹凸微細構造の作成が困難であったため、別の手法により、中心や端部において十分な高さがみられる凹凸パターンの形成が可能となった。この培養皿を用いて骨芽細胞様細胞株MC3T3細胞にAscorbic acid, βglycerophospahte, Dexamethasoneを用いて骨分化誘導を行い、qPCRでの発現を確認した結果、normal(平面構造)と比較して凹型pore構造を有する培養皿では、骨分化マーカー遺伝子であるAlpの発現が上昇していた。また、マウス骨髄由来間質系細胞ST2に10-8M vitaminD3を添加し、RNAを回収してRanklとOpgの発現を検討した結果、normalと比較して、凸型pillar構造でRanklの発現が、凹型pore構造でOpgの発現が減少していた。凹凸構造パターンの違いにより、骨芽細胞における骨分化及び破骨細胞形成調節因子の発現に差が認められたことから、足場材料の構造の違いが骨代謝関連細胞の機能制御に影響を与える可能性が示唆された。
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